1.令和8年司法試験論文式公法系第2問。全体的に、問題文の量は多いものの、解答のポイントに気付いてしまえば、答案に書くべき量は少ない、という作りになっています。設問2では、「そもそも処分要件にすらなってないじゃん。」というのが、解答のポイントでした。
2.設問2は、処分の相手方以外の者の原告適格が問われていることが明らかです。
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(問題文より引用。太字強調は筆者) 〔設問2〕 【時点②】において、Bが本件入所措置の取消訴訟を提起した場合、Bに当該取消訴訟の原告適格が認められるか、検討しなさい。 (中略) 職 員G:ところで、Bは本件入所措置が採られた令和8年1月8日(【時点②】)にこれを知ったようですけれども、審査請求も取消訴訟の提起もしていません。Bは本件入所措置の取消訴訟を提起することはできないのでしょうか。 弁護士 I:Bは本件入所措置の相手方ではないので、その取消訴訟における原告適格を認めることができるかは、慎重に検討する必要があると思います。この事例では、原告適格を認めるのは、容易ではないと思われます。 弁護士H:そうですね。児童の親権を行う保護者による児童虐待の場合、児童福祉法は、原則として、児童の親権を行う保護者の意に反して同法第27条第1項第3号の措置を採ることができないとしており、同法第28条第1項に該当するときであっても、当該措置を採るためには家庭裁判所の承認を得ることを必要としています。それに対して、高齢者の場合には、その子である養護者に、児童の場合の親権に相当するような、親の監護権があるわけではありません。したがって、高齢者の養護者であるBが本件入所措置の法的効果による権利の制限を受けると考えるのは難しいでしょうね。また、高齢者虐待防止法第14条には、養護者に対する支援の規定があるとはいえ、これだけで本件入所措置の取消訴訟に関する養護者の原告適格を認めることは難しいのではないでしょうか。この点については、児童虐待の場合との比較も含めて I 弁護士に検討してもらいましょう。 (引用終わり) |
厳密には、「高齢者の養護者であるBが本件入所措置の法的効果による権利の制限を受けると考えるのは難しいでしょうね。」の部分は主に準相手方(※1)を指し、「また、高齢者虐待防止法第14条には、養護者に対する支援の規定があるとはいえ、これだけで本件入所措置の取消訴訟に関する養護者の原告適格を認めることは難しいのではないでしょうか。」の部分は相手方以外の者の法律上保護された利益を指しています。
※1 「準名宛人」とも呼ばれますが、法令上、処分が効力を生じた後は、「名宛人」ではなく「相手方」と記載するのが通例であり(『司法試験定義趣旨論証集行政法【第2版】』「不利益処分の相手方の原告適格」の項目の※注を参照)、行訴法9条2項の「相手方」に準じる者という意味で、「準相手方」の表記を用いています。
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(『司法試験定義趣旨論証集行政法【第2版】』より引用。太字強調は筆者。) ・権利制限による準相手方の原告適格 (中略) ※ 「権利」の制限であり、「法律上保護された利益」が制限を受けるのでは足りない。「法律上保護された利益」の制限を受けるにとどまる者に原告適格が認められるか否かは、処分の相手方以外の者に関する法理による(「処分の相手方以外の者の法律上保護された利益の判断基準」の項目を参照)。利益は外延及び帰属が不明確であることから、外延・帰属及び侵害の認定に微妙な判断を要するからである。 (後略) (引用終わり) |
なので、厳密に解答するなら、準相手方を否定した上で、相手方以外の者の法律上保護された利益を検討する、というのが、会議録の記載どおりの手順ということになるでしょう。とはいえ、準相手方のところは、どちらかというと、それは当然に否定されることを前提にしてね、という解答の対象を限定する意味が強そうなので、実戦的には、相手方以外の者の法律上保護された利益のみを検討すれば足りるでしょう。
3.処分の相手方以外の者の法律上保護された利益については、誰もが、小田急高架訴訟の規範を示して解答したことでしょう。しかし、その意味を正確に理解して当てはめをしている人は、意外と少なかったりします。
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(最大判平17・12・7(小田急高架訴訟)より引用。太字強調は筆者。) 行政事件訴訟法9条は,取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。 (引用終わり) |
上記判示中から読み取れる要素は、「具体的利益」であること(具体性)、それから、「個別的利益」であること(個別性)です。講学上、前者は「保護範囲要件」、後者は「個別保護要件」と呼ばれることがあります。
4.具体的利益というときの具体性とは、当該利益が処分要件となっていること、すなわち、「当該利益を侵害するときは、処分をしてはならない。」という趣旨が読み取れることを指します(※2)。すなわち、裁判規範として機能し得るという意味で、憲法における「具体的権利」、「抽象的権利」や、刑法における「具体的危険犯」、「抽象的危険犯」と同様の用例です。「具体的」・「抽象的」という語は、特定人を対象とするか、不特定人を対象とするかという意味で用いられることもあります。「法律は抽象的法規範であるが、処分は具体的法規範である。」というときの「具体的」・「抽象的」は、その用例です。しかし、「不特定多数者の具体的利益」という表現から明らかなとおり、ここではそのような意味ではありません。
※2 『司法試験定義趣旨論証集行政法【第2版】』の「処分の相手方以外の者の法律上保護された利益の判断基準」、「具体的利益を要する理由」、「具体的利益の判断基準」の各項目も参照。
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(参照条文)行政事件訴訟法9条2項 (最判昭53・3・14(主婦連ジュース事件)より引用。太字強調は筆者。) 法律上保護された利益とは、行政法規が私人等権利主体の個人的利益を保護することを目的として行政権の行使に制約を課していることにより保障されている利益であつて、それは、行政法規が他の目的、特に公益の実現を目的として行政権の行使に制約を課している結果たまたま一定の者が受けることとなる反射的利益とは区別されるべきものである。 (引用終わり) (衆院法務委員会平16・5・11より引用。太字強調は筆者。) 塩野宏(東京大学名誉教授)参考人 (引用終わり) |
やや荒っぽい比喩をすると、例えば、殺人罪(刑法199条)は、「人を殺すな。」という不作為義務規範(※3)に違反した場合に課される刑事罰です。同条の規律から、「人の生命という法益を侵害するときは、その行為をしてはならない。」という趣旨が読み取れるから、刑法199条は人の生命を具体的利益として保護している。逆にいえば、人の生命を具体的利益として保護したいからこそ、それを侵害する行為を禁止したのだ、といえる。これと同じような思考方法です。
※3 「人を殺すな。」という規範自体は成分法に規定がありません。このような不文の自然法的法規範ないし自然法義務に違反した場合に課される罪を、自然犯といいます。
このことは、文言上明示された場合にとどまらず、解釈によって導かれる場合を含みます。
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(最判昭60・12・17より引用。太字強調は筆者。) 処分の法的効果として自己の権利利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者に限つて、行政処分の取消訴訟の原告適格を有するものというべきであるが、処分の法律上の影響を受ける権利利益は、処分がその本来的効果として制限を加える権利利益に限られるものではなく、行政法規が個人の権利利益を保護することを目的として行政権の行使に制約を課していることにより保障されている権利利益もこれに当たり、右の制約に違反して処分が行われ行政法規による権利利益の保護を無視されたとする者も、当該処分の取消しを訴求することができると解すべきである。そして、右にいう行政法規による行政権の行使の制約とは、明文の規定による制約に限られるものではなく、直接明文の規定はなくとも、法律の合理的解釈により当然に導かれる制約を含むものである。 (引用終わり) |
このことを理解すると、納骨堂事件における宇賀克也意見が「国民の宗教的感情に適合せず又は公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障を及ぼすおそれがある申請は許可しないという要件が存在している」という解釈を敢えて示した意味がよく分かるでしょう。
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(最判令5・5・9(納骨堂事件)のおける宇賀克也意見より引用。太字強調及び※注は筆者。) 墓地経営等の許可について、法は要件を一切定めていないが、法の合理的解釈により、法1条の目的に合致しない申請、すなわち、国民の宗教的感情に適合せず又は公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障を及ぼすおそれがある申請は許可しないという要件が存在していると解するべきである(このような考え方につき、最高裁昭和57年(行ツ)第149号同60年12月17日第三小法廷判決・裁判集民事146号323頁(※注:上記に引用した最判昭60・12・17を指す。)参照)。 (引用終わり) |
5.さて、ここまでを理解した上で、本問を考えましょう。養護者(B)の利益を害するときは、老人福祉法11条1項2号の措置をしてはならない、という処分要件は存在するか。まず、直接の根拠規定である老人福祉法11条1項2号の要件を見ても、養護者の利益を考慮した要件は見当たりません。
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(問題文より引用。太字強調は筆者) 【資料1 関係法令】 (中略) (老人ホームへの入所等) (引用終わり) |
前記のとおり、直接に「養護者の利益を害するときは」のように書いていなくても、養護者の利益を害するときは措置をしてはならないと解釈し得る要件があるならば、それは処分要件になっているといえます。しかし、養護者の利益を害するから「65歳以上の者」に当たらないと解釈するとか無理に決まっている。障害で介護が必要かどうかも養護者の利益とは関係ない。居宅介護が困難かについては養護者の事情が考慮され得るでしょうが、「養護者の利益を害するから居宅介護が困難でない。」という解釈はいかにも無理。地域密着型介護老人福祉施設等への入所困難についても同様です。老人福祉法11条1項2号が養護者の利益を保護する処分要件を定めていないことは、秒で判断すべきでしょう。
養護者の利益が関係しそうなのは、28条です。
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(問題文より引用。太字強調は筆者) 【資料1 関係法令】 (中略) (費用の徴収) (引用終わり) |
本問のBのように、養護者が扶養義務者である場合には、同条1項によって費用負担をすることになるから、養護者の利益に関わることは確かです。でも、11条1項2号の措置の処分要件には全然なっていない。「養護者の費用負担が過度になるときは、11条の措置をしてはならない。」というような解釈の余地もないでしょう。そもそも、「負担能力に応じて」とされているので、過度な負担にはならないようになっている。なので、28条によって原告適格が基礎付けられるということもあり得ないね、ということになるのです。
6.次に、高齢者虐待防止法の方はどうか。ここは、会議録の誘導で、同法14条は考慮しろよ、と指示されています。
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(問題文より引用。太字強調は筆者) 弁護士H:そうですね。児童の親権を行う保護者による児童虐待の場合、児童福祉法は、原則として、児童の親権を行う保護者の意に反して同法第27条第1項第3号の措置を採ることができないとしており、同法第28条第1項に該当するときであっても、当該措置を採るためには家庭裁判所の承認を得ることを必要としています。それに対して、高齢者の場合には、その子である養護者に、児童の場合の親権に相当するような、親の監護権があるわけではありません。したがって、高齢者の養護者であるBが本件入所措置の法的効果による権利の制限を受けると考えるのは難しいでしょうね。また、高齢者虐待防止法第14条には、養護者に対する支援の規定があるとはいえ、これだけで本件入所措置の取消訴訟に関する養護者の原告適格を認めることは難しいのではないでしょうか。この点については、児童虐待の場合との比較も含めて I 弁護士に検討してもらいましょう。 (引用終わり) |
なので、ほとんどの人が、答案で明示に検討したことでしょう。ですが、何の断りもなく当然のように考慮してはいけません。なぜなら、高齢者虐待防止法は、入所措置の根拠法令ではないからです。行訴法9条2項の「関係法令」に当たるから考慮できるよね、ということを、一言書く必要がある。
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(参照条文)行政事件訴訟法9条2項 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。 |
どのような法令が関係法令になるのかは、目的規定の文言だけでなく、処分の手続に組み込まれているか、一般法・特別法の関係にあるか等を考慮するのでした。
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(『司法試験定義趣旨論証集行政法【第2版】』より引用。太字強調は筆者。) ・「目的を共通にする」(行訴法9条2項)の考慮要素 (中略)
※ 処分の根拠法令それ自体から簡単に原告適格を肯定できる場合は、敢えて関係法令を考慮する必要はない。一方で、処分の根拠法令が当該利益を保護する趣旨目的を含まないことが明らかな場合には、当該利益を保護する趣旨目的を含む他の法令があったとしても、それは「目的を共通にする関係法令」とはいえないから、関係法令として考慮する余地はない。したがって、関係法令を考慮すべき場合とは、処分の根拠法令だけからは当該利益を保護する趣旨目的を含むか否かが不明確で、どちらともいい難い場合、すなわち、根拠法令だけでは決め手を欠き、関係法令を加味しなければ結論が出せない場合である。 (引用終わり) |
老人福祉法11条1項2号の措置についていえば、高齢者虐待防止法9条2項において、同法7条1項の通報等があった場合に老人福祉法11条1項の措置を講じるものとされています。
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(問題文より引用。太字強調は筆者) ○ 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号) (中略) (養護者による高齢者虐待に係る通報等) (通報等を受けた場合の措置) (引用終わり) |
老人福祉法11条1項2号の措置の手続に組み込まれている。なので、高齢者虐待防止法は、老人福祉法と目的を共通にする関係法令だ、ということができるでしょう。
そこで、高齢者虐待防止法14条を見ると、こんなの全然処分要件になっていないことが分かります。
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(問題文より引用。太字強調は筆者) ○ 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年法律第124号) (中略) (養護者の支援)第14条 市町村は、第6条に規定するもののほか、養護者の負担の軽減のため、養護者に対する相談、指導及び助言その他必要な措置を講ずるものとする。 2 市町村は、前項の措置として、養護者の心身の状態に照らしその養護の負担の軽減を図るため緊急の必要があると認める場合に高齢者が短期間養護を受けるために必要となる居室を確保するための措置を講ずるものとする。 (引用終わり) |
「措置を講ずる」というだけで、養護者の負担があるときは、老人福祉法11条1項2号の措置をしてはならない、というような解釈の余地は全く読み取れない。以上のことから、本問は、養護者(B)の利益を考慮した処分要件すら存在しない、すなわち、具体的利益(保護範囲要件)の観点だけで、簡単に原告適格が否定される場合だ、ということが分かるのでした。
7.会議録では、児童福祉法27条1項3号の措置の場合と比較しろ、と書いてあります。ここまでの説明を読んだ後に見ると、処分要件になっているか、すなわち、具体的利益(保護範囲要件)の点が問題であることに気付いてね、という誘導であったことが分かるでしょう。
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(問題文より引用。太字強調は筆者) 弁護士H:そうですね。児童の親権を行う保護者による児童虐待の場合、児童福祉法は、原則として、児童の親権を行う保護者の意に反して同法第27条第1項第3号の措置を採ることができないとしており、同法第28条第1項に該当するときであっても、当該措置を採るためには家庭裁判所の承認を得ることを必要としています。それに対して、高齢者の場合には、その子である養護者に、児童の場合の親権に相当するような、親の監護権があるわけではありません。したがって、高齢者の養護者であるBが本件入所措置の法的効果による権利の制限を受けると考えるのは難しいでしょうね。また、高齢者虐待防止法第14条には、養護者に対する支援の規定があるとはいえ、これだけで本件入所措置の取消訴訟に関する養護者の原告適格を認めることは難しいのではないでしょうか。この点については、児童虐待の場合との比較も含めて I 弁護士に検討してもらいましょう。 (引用終わり) |
そのような理解の上で児童福祉法の規定を見ると、「親権者・未成年後見人の利益を害するときは、処分をしてはならない。」という趣旨の処分要件があることを確認できます。ちなみに、ここは厳密には親権者・未成年後見人の監護教育権を制限するものなので権利制限による準相手方構成とするのが正しいのですが、そのことを現場で確実に読み取らせるために必要な児童福祉法47条3項から5項までが関係法令として掲載されていないので、本問を解答するに当たっては、相手方以外の者の法律上の利益の対比の中で考えていけばよいのだろうと思います。なお、民法824条の3は、令和6年法律第33号による改正で新設されたものです。
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(問題文より引用。太字強調は筆者) ○ 児童福祉法(昭和22年法律第164号)(抜粋) 第27条 都道府県は、前条第1項第1号の規定による報告又は少年法第18条第2項の規定による送致のあつた児童につき、次の各号のいずれかの措置を採らなければならない。
第28条 保護者が、その児童を虐待し、著しくその監護を怠り、その他保護者に監護させることが著しく当該児童の福祉を害する場合において、第27条第1項第3号の措置を採ることが児童の親権を行う者又は未成年後見人の意に反するときは、都道府県は、次の各号の措置を採ることができる。 (引用終わり) (参照条文) (子の人格の尊重等) (居所の指定) (職業の許可) (監護者の権利義務) (未成年被後見人の身上の監護に関する権利義務) ◯児童福祉法47条 児童福祉施設の長は、入所中の児童で親権を行う者又は未成年後見人のないものに対し、親権を行う者又は未成年後見人があるに至るまでの間、親権を行う。ただし……(略)……。 |
これに対し、老人福祉法の方はそのような処分要件がないから、利益の具体性(保護範囲要件)のところで簡単に切れてしまうよね。ここに気付いているか。これが、設問2の解答のポイントです。利益の個別性(個別保護要件)は、論じるまでもない。ここが分かっていれば、処分の相手方以外の者の原告適格の割には、コンパクトな答案になる。設問2の配点が30点しかないことにも、合点がいくというものです。
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(問題文より引用。太字強調は筆者) 〔第2問〕(配点:100〔〔設問1〕、〔設問2〕、〔設問3〕の配点割合は、20:30:50〕) (引用終わり) |
参考答案は、そのようなコンパクトな答案の一例です。
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(参考答案より引用) 1.「法律上の利益を有する者」(行訴法9条1項)とは、処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいい、処分の相手方以外の者に上記利益があるかは、処分の根拠法規が不特定多数者の具体的利益を個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むかで判断する(小田急高架訴訟)。 2.具体的利益かは、その利益が侵害されるときは処分をしてはならない趣旨か(行訴法9条2項)で判断する(処分要件説。主婦連ジュース事件も参照)。 ⑴ 児童福祉法27条1項3号の措置は親権者・未成年後見人の意に反して採ることができず、同法28条1項に該当するときでも家裁の承認を要するから、親権者・未成年後見人の利益が侵害されるときは処分をしてはならない趣旨を含む。
⑵ これに対し、老人福祉法(以下「法」)11条1項2号には、養護者の利益が侵害されるときは同号の措置(以下「2号措置」)をしてはならないとする要件はない。措置の実施により養護者は費用を徴収され得る(法28条)が、費用負担を理由として2号措置をしてはならないとする趣旨の定めはない。 3.そうすると、養護者は、2号措置により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者とはいえないから、「法律上の利益を有する者」に当たらず、原告適格は認められない。 4.よって、養護者であるBに本件入所措置の取消訴訟の原告適格は認められない。 (引用終わり) |
8.本問は、会議録の誘導で否定の結論がほぼ明示されているので、考査委員はその理由が的確か、すなわち、端的に処分要件になっていないことを指摘できるかを試しているのでしょう。処分の相手方以外の者の原告適格については、例年、具体性(保護範囲要件)と個別性(個別保護要件)の区別を意識しないぐちゃぐちゃな答案が続出します。本問でも、処分要件にすらなっていないことに気が付きもしないまま、延々とぐちゃぐちゃな空中線を展開する答案が続出するでしょう。そのような答案は、敗者復活戦に回ることになる。敗者復活戦は、全く別のゲーム、すなわち、肯定・否定の要素をどれだけ拾えたか、という大魔神案件と化します。こうして、本質を見抜いてコンパクトに上位を取る答案と、物量で何とかした答案の2種類の上位答案が生じるのでした。