【答案のコンセプト等について】
1.現在の論文式試験においては、基本論点についての規範の明示と事実の摘示に極めて大きな配点があります。①基本論点について、②規範を明示し、③事実を摘示すること。これが、合格するための基本要件であり、合格答案の骨格をなす構成要素といえます。従来、当サイトでは、この①~③に特化した「参考答案(その1)」と、規範の理由付け、事実の評価、応用論点等の肉付けを行うとともに、より正確かつ緻密な論述をした「参考答案(その2)」を示してきました。両者を示すことにより、「規範と事実」で書く答案がどのようなものか、規範の理由付け、事実の評価、応用論点等を書くとすればどうなるか、というイメージが具体化されるとともに、理想を追い求めて、規範の理由付け、事実の評価、応用論点等を書きに行くと、現実には絶対に書けない答案になる、ということも、実感できたのではないかと思います。 当サイトとしては、上記のいわば両極ともいえる答案のイメージを具体化することについては、もう十分に達成できたと考えています。次の段階は、両者の中間に位置する現実的でリーズナブルな合格答案として、どのようなものをイメージすればよいのか。これを具体化することにある。そこで、上記①~③をベースとしつつ、無理なく書ける範囲の現実的でリーズナブルな合格答案を示すこととしました。このことは、今年からCBT方式による実施となることで、文字数の制限をより意識しなければならなくなることからも、意味のあることだろうと思っています。
2. 参考答案中の太字強調部分は、『司法試験定義趣旨論証集(憲法)』に準拠した部分です。なお、CBT方式の実施に伴い、判例の事件名の記載を簡略なものにしています(『刑法各論【第2版】(司法試験定義趣旨論証集)』「本書の概要」7項を参照)。
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【参考答案】 第1.本件活動のための本件公園独占使用は、集会の自由(21条1項)で保障されるか。 1.本件活動は、X会員20名程度が、本件プロジェクト参加という目的のため本件公園に集まってするから、同項の集会に当たる。
2.集会の自由は、他者が管理する場所を当然に使用する請求権を含まない(吉祥寺駅ビラ配布事件、立川反戦ビラ配布事件)。もっとも、判例は、市民会館の使用拒否を違憲審査しており(泉佐野市市民会館事件)、パブリック・フォーラム(PF)に当たる場合には、その使用を妨げられない自由にまで及ぶ趣旨と学説から評価されている(PF論。吉祥寺駅ビラ配布事件における伊藤正己補足意見も参照。)。 3.以上から、本件活動のための本件公園独占使用は、集会の自由で保障される。 第2.確かに、本件申請の不許可処分があっても、無料で一般利用できる。しかし、集会の自由は公園の独占使用にまで及ぶから、独占使用ができない以上、集会の自由の制約がある。 第3.本件申請の不許可処分は、集会の自由を侵害し21条1項に反するか。 1.① ⑴ 管理上の支障を根拠とする不許可処分の合憲性は、明らかな差し迫った危険の発生が客観的な事実に照らして具体的に予見されるかで判断する(泉佐野市市民会館事件)。判例は、反対者の妨害を理由に平穏な集会を制限できるのは、警備の強化等では対応できないなどの特別な事情がある場合に限られるとする(上尾市福祉会館事件)。学説は、反対者を理由に集会を制限してはならないという敵対的聴衆の法理を定式化したものと評価している。ただし、主催者の暴力的行為によって反対者の妨害が誘発されたときは、敵対的聴衆の法理は適用されない(泉佐野市市民会館事件)。地自法244条2項の「正当な理由」及びこれを具体化した「管理上の支障」(本件条例5条3項5号)も同旨である(憲法適合的解釈)。
⑵ Bは市民運動家でXの幹部であり、外国人排斥を訴える団体が行う集会等に対してカウンターデモを行う団体Cを組織して、その代表になった。本件申請がされた5月10日のわずか2か月ほど前の3月1日には、外国人排斥デモの参加者とBらのカウンターデモ参加者との小競り合いが生じ、双方の参加者が互いに暴力を振るう事態となり、Bを含む20人もの逮捕者が出た。A市内ではその後も、外国人排斥を訴える諸団体とCとの小競り合いが何回も繰り返され、警察官が出動して制圧する事態も起きている。Bは、本件申請以降、SNSで本件活動に関する情報を度々発信し、上記諸団体が知り得る状態にある。
⑶ しかし、本件活動は寝袋等で一夜を明かすという極めて平穏な態様のものである。BはX幹部6人の1人にすぎず、代表でも事務局長でもない。X幹部でCの活動に関わっているのはBのみで、上記逮捕後不起訴となった。暴力事態は諸団体の集会等に対してCがカウンターデモを行って生じたもので、Xの活動とは関係がないし、上記諸団体の方からCの集会を積極に妨害した事実はうかがわれない。過去に在留外国人共生国際交流団体活動紹介行事が開催されたが、外国人排斥を訴える団体が妨害した事実はうかがわれない。本件活動が他団体に妨害され、暴力事態に至る蓋然性は乏しく、Bの暴力的行為によって諸団体の妨害が誘発される場合ともいえない。 ⑷ 以上から、明らかな差し迫った危険の発生が客観的な事実に照らして具体的に予見されるとはいえない。 ⑸ よって、本件条例5条3項5号の管理上の支障を根拠として不許可処分をすることは、21条1項に反し、許されない。 2.② ⑴ 夜間利用禁止を根拠とする不許可処分の合憲性は、特別に夜間の独占使用を認めるべき憲法上の理由があるか、政治的中立性に対する市民の信頼が損なわれる危険性がないかで判断する。「特別な理由」(本件条例8条2項前段)も同旨である。
⑵ 星座鑑賞会は性質上星の見える夜間屋外でなければ目的を達し得ないし、伝統的に夜間屋外で実施されてきた盆踊りを昼間又は屋内で行ったのでは伝統行事としての目的を達し得ないのに対し、住宅費高騰問題に関する抗議活動は昼間の公園でも行えるし、夜間ならば市立公民館でも行えるから、特別に夜間の独占使用を認めるべき憲法上の理由はないとの立場が考えられる。
⑶ 昼間の利用は禁止が原則でないことから、本件条例5条1項の許可では在留外国人共生国際交流団体活動紹介行事のほか原水爆禁止集会が開催されたことがあるが、夜間の利用は禁止が原則であるため、特定の政治的主張を行うための夜間の独占使用を認めると、A市の政治的中立性に対する市民の信頼が損なわれる危険性があるとの立場が考えられる。 ⑷ よって、本件条例8条2項前段の特別な理由がないことを根拠として不許可処分をすることは、21条1項に反し、許されない。 以上 |