令和7年司法試験の結果について(1)
~合格者数の決定基準~

1.令和7年司法試験の結果が公表されました。合格者数は、1581人でした。昨年は1592人でしたから、11人の減少ということになります。どうして、このような数字になったのでしょうか。

2.平成20年から令和4年までは、平成28年、令和2年の例外を除いて、「〇〇人基準」、すなわち、5点刻みで最初に基準となる人数を超える累計人員となる得点を合格点とする、というルールで説明できました(「令和3年司法試験の結果について(1)」、「令和4年司法試験の結果について(1)」)。それが、令和5年以降は、「〇〇人基準」では説明できない合格点・合格者数が続いています(「令和6年司法試験の結果について(1)~合格者数の決定基準~」)。今年は、どうか。以下は、今年の合格点である770点前後における5点刻みの人員分布です。

得点 累計人員
780 1509
775 1550
770 1581
765 1625
760 1654

 「1500人基準」なら780点が合格点で合格者数は1509人、「1600人基準」なら765点が合格点で合格者数は1625人となったはず。「1550人基準」という半端な基準人数を想定しても、合格点775点で合格者数はちょうど1550人になったはずでした。いずれも、実際の数字である合格点770点・合格者数1581人の組み合わせにはなりません。今年も、「〇〇人基準」では説明できない合格点・合格者数であったといえます。

3.では、何が基準となったのか。以下は、直近5年の受験者数、合格者数、合格率、合格点の推移です。

年
(令和)
受験者数 合格者数 受験者
合格率
短答
合格者
合格率
合格点
3 3424 1421 41.5% 53.1% 755
4 3082 1403 45.5% 56.2% 750
5 3928 1781 45.3% 56.5% 770
6 3779 1592 42.1% 53.8% 770
7 3837 1581 41.2% 54.4% 770

 「〇〇人基準」で説明できなくなった令和5年以降は、770点の合格点が続いている、ということが分かります。逆にいうと、他にはあまり共通点がない。とはいえ、年ごとの問題の難易度によって全体の点数分布が変動し得ることを考えると、機械的にいつも770点を合格点にする、ということは考えにくいでしょう。そう考えると、令和5年以降は、「合格点770点を一応の基準としつつ、それではあまりにも合格率の変動が大きくなり過ぎるときは修正する。」という感じに運用されているのではないか。直近3年は、770点で合格率が大きく変動しないので、770点がそのまま合格点になった、というわけです。まだはっきりしませんが、この仮説が正しければ、来年以降も770点が合格点になりやすい、ということがいえるでしょう。

4.なお、裁判所の令和7年度歳出概算要求書の47頁(PDFでは51頁)には、「第79期(導入修習) 1425人」との記載がありますが、実際の合格者数1581人とは大きく異なります。また、令和8年度歳出概算要求書の47頁(PDFでは51頁)には、「第79期(導入修習) 1592人」との記載があり、これは実際の合格者数と近いと感じさせますが、これは前年の合格者数1592人をそのまま前年実績値として用いたのでしょう。あるいは、過去3年の実績値の平均値((1403+1781+1592)÷3=1592)を用いたのかもしれません。前年実績値と直近3年実績値の平均値が同じ値となるのは、全くの偶然で、珍しいことです。いずれにせよ、当サイトが繰り返し説明しているとおり、概算要求書記載の数字は過去の合格者数等に加重平均等の一定の修正を加えるなどしたものに過ぎず、事前に確定した合格者数を記載したものではないのです(「1800?1578? 裁判所令和6年度概算要求書について」)。令和8年度歳出概算要求書の47頁(PDFでは51頁)には、「第80期(導入修習) 1655人」との記載がありますが、当然のことながら、令和8年司法試験の合格者数が1655人であると確定したことを示すものではありません。 これはおそらく、令和5年実績(1781人)と令和6年実績(1592人)を参照しつつ、直近である令和6年実績を2倍に加重して平均を取った結果((1781+1592×2)÷3=1655)なのでしょう。いずれにしても、このような数字に惑わされてはいけません。 

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