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(最判昭40・11・30より引用。太字強調は当サイトによる。) 民法715条にいわゆる「事業ノ執行ニ付キ」とは、被用者の職務執行行為そのものには属しないが、その行為の外形から観察して、あたかも被用者の職務の範囲内の行為に属するものとみられる場合をも包含するものと解すべきであり、このことは、すでに当裁判所の判例とするところである(昭和32年7月16日第三小法廷判決、民集11巻7号1254頁、昭和36年6月9日第二小法廷判決、民集15巻6号1546頁)。これを被用者が取引行為のかたちでする加害行為についていえば、使用者の事業の施設、機構および事業運営の実情と被用者の当該行為の内容、手段等とを相関的に斟酌し、当該行為が、(い)被用者の分掌する職務と相当の関連性を有し、かつ、(ろ)被用者が使用者の名で権限外にこれを行うことが客観的に容易である状態に置かれているとみられる場合のごときも、被害者の保護を目的とする民法715条の法意ならびに前示判例の趣旨にかんがみ、外形上の職務行為に該当するものと解するのが相当である。けだし、(い)にいう本来の職務との間に相当の関連性を有することは、当該行為が被用者の職務の範囲内に属するものと思料される契機となりうることは疑いがなく、しかも、被用者の権限外の行為に対し使用者の支配が及びうるにかかわらず、(ろ)のごとくこれを容易に行いうる客観的状態が事業の施設機構等に存するときは、被用者の行為がその職務の範囲内に属するものとの外観をもたらすのが通常の事態であると認められるからである (引用終わり) |
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(最判昭39・2・4より引用。太字強調は当サイトによる。) 上告会社は、自動車、その部品及び附属品の販売、車体の製作並びにその取付を営業目的とする会社であり、上告人Aは、上告会社の被用者でその販売課に勤務していたこと、右上告人Aは、本件事故当日の午後5時頃上告会社の勤務を終えて退社し、和歌山市内で映画見物をした後帰宅すべく国鉄a駅に赴いたが、最終列車に乗り遅れたため一旦上告会社に引き返し、上告会社所有の本件Dジープ普通自動車を引き出して、これを運転しつつ帰宅する途中で本件追突事故を惹起たものであること、上告人Aは、平素上告会社に通勤するには国鉄を利用して居り、販売契約係として自動車購入の勧誘並びに販売契約締結の業務を担当し、右業務執行のため他の同係員8名と共に前記ジープを運転してこれに当つていたこと、上告会社においては、ジープは会社業務の為に使用する場合であつても上司の許可を得なければならず、私用に使うことは禁止されていたことが、いずれも、認められるというのである。このような事実関係の下においては、上告人Aの本件事故当夜における右ジープの運行は、会社業務の適正な執行行為ではなく、主観的には同上告人の私用を弁ずる為であつたというべきであるから、上告会社の内規に違反してなされた行為ではあるが、民法715条に規定する「事業ノ執行ニ付キ」というのは、必ずしも被用者がその担当する業務を適正に執行する場合だけを指すのでなく、広く被用者の行為の外形を捉えて客観的に観察したとき、使用者の事業の態様、規模等からしてそれが被用者の職務行為の範囲内に属するものと認められる場合で足りるものと解すべきであるとし、この見地よりすれば、上告人Aの前記行為は、結局、その職務の範囲内の行為と認められ、その結果惹起された本件事故による損害は上告人の事業の執行について生じたものと解するのが相当であるから、被用者である上告人Aの本件不法行為につき使用者である上告会社がその責任を負担すべきものであるとした原審の判断は、正当である。 (引用終わり) |
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(最判昭42・11・2より引用。太字強調は当サイトによる。) 被用者のなした取引行為が、その行為の外形からみて、使用者の事業の範囲内に属するものと認められる場合においても、その行為が被用者の職務権限内において適法に行なわれたものでなく、かつ、その行為の相手方が右の事情を知りながら、または、少なくとも重大な過失により右の事情を知らないで、当該取引をしたと認められるときは、その行為にもとづく損害は民法715条にいわゆる「被用者カ其事業ノ執行ニ付キ第三者ニ加ヘタル損害」とはいえず、したがつてその取引の相手方である被害者は使用者に対してその損害の賠償を請求することができないものと解するのが相当である。 (引用終わり) |
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(最判昭44・11・21より引用。太字強調及び※注は当サイトによる。) 被用者のした取引行為が、その行為の外形からみて、使用者の事業の範囲内に属するものと認められる場合においても、その行為が被用者の職務権限内において適法に行なわれたものでなく、かつ、その行為の相手方が右の事情を知りながらまたは重大な過失により右の事情を知らないで、当該取引をしたと認められるときは、その行為に基づく損害について、その取引の相手方である被害者は、使用者に対してその賠償を請求することができないものと解すべきことは、当裁判所の判例(最高裁昭和39年(オ)第1103号同42年11月2日第一小法廷判決、民集21巻9号2278頁(※注:上記最判昭42・11・2を指す。)参照)とするところであるが、このように、相手方の故意のみでなく重大な過失によつても使用者が損害賠償の責を免れるのは、公平の見地に照らし、被用者の行為の外形に対する相手方の信頼が、重大な過失に基づくときは、法律上保護に値いしないものと認められるためにほかならないから、ここにいう重大な過失とは、取引の相手方において、わずかな注意を払いさえすれば、被用者の行為がその職務権限内において適法に行なわれたものでない事情を知ることができたのに、そのことに出でず、漫然これを職務権限内の行為と信じ、もつて、一般人に要求される注意義務に著しく違反することであつて、故意に準ずる程度の注意の欠缺があり、公平の見地上、相手方にまつたく保護を与えないことが相当と認められる状態をいうものと解するのが相当である。 (引用終わり) |
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(最判昭44・11・18より引用。太字強調は当サイトによる。) 訴外(第一審被告)Dは、土木建築業を営む上告会社に配管工として雇用され、同会社が東京都三鷹市aにおいて行なつていた上水道管敷設工事に従事中、昭和41年11月12日右工事現場において、同じく右工事の作業をしていた被上告人に対し、作業に使用するため「鋸を貸してくれ」と声を掛けたところ、被上告人が自分の持つていた鋸をDの方に向けて投げたことから、さらに右両名間に原判示のような遺り取りがあつたあげく、Dが被上告人に対し原判示暴行を加えたというのである。右事実によれば、被上告人が被つた原判示損害は、Dが、上告会社の事業の執行行為を契機とし、これと密接な関連を有すると認められる行為によつて加えたものであるから、これを民法715条1項に照らすと、被用者であるDが上告会社の事業の執行につき加えた損害に当たるというべきである。 (引用終わり) |
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(最判昭46・6・22より引用。太字強調は当サイトによる。) 訴外D、同E両名(いずれも第一審被告)は、鮨加工販売業を営む上告会社のF支店に店員として雇用されていたところ、右Dは上告会社所有の軽四輪自動車を運転し、右Eはその助手席に同乗して、いずれも出前および鮨容器の回収業務におもむく途次、右自動車の右側方向指示器を点灯したまま走行したので、その右折を予期した被上告人運転の小型自動車と接触しそうになり、そのため、被上告人が訴外人両名に対し、「方向指示器が右についている。危いじやないか。」「馬鹿野郎、方向指示器が右についている。もうちよつとでぶつかるとこでないか。」と申し向けたことに端を発し、右三名間で原判示のようなやり取りがあつたあげく、右訴外人両名が被上告人に対し原判示の暴行を加えたというのである。右事実によれば、被上告人の被つた原判示の損害は、右訴外人両名が、上告会社の事業の執行行為を契機とし、これと密接な関連を有すると認められる行為をすることによつて生じたものであるから、民法715条1項にいう被用者が使用者の事業の執行につき加えた損害というべきである。 (引用終わり) |
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(最判昭42・6・27より引用。太字強調は当サイトによる。) 民法722条2項に定める被害者の過失とは単に被害者本人の過失のみでなく、ひろく被害者側の過失をも包含する趣旨と解すべきではあるが、本件のように被害者本人が幼児である場合において、右にいう被害者側の過失とは、例えば被害者に対する監督者である父母ないしはその被用者である家事使用人などのように、被害者と身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者の過失をいうものと解するを相当とし、所論のように両親より幼児の監護を委託された者の被用者のような被害者と一体をなすとみられない者の過失はこれに含まれないものと解すべきである。けだし、同条項が損害賠償の額を定めるにあたつて被害者の過失を斟酌することができる旨を定めたのは、発生した損害を加害者と被害者との間において公平に分担させるという公平の理念に基づくものである以上、被害者と一体をなすとみられない者の過失を斟酌することは、第三者の過失によつて生じた損害を被害者の負担に帰せしめ、加害者の負担を免ずることとなり、却つて公平の理念に反する結果となるからである。 (引用終わり) |
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(最判昭51・3・25より引用。太字強調は当サイトによる。) 民法722条2項が不法行為による損害賠償の額を定めるにつき被害者の過失を斟酌することができる旨を定めたのは、不法行為によつて発生した損害を加害者と被害者との間において公平に分担させるという公平の理念に基づくものであると考えられるから、右被害者の過失には、被害者本人と身分上、生活関係上、一体をなすとみられるような関係にある者の過失、すなわちいわゆる被害者側の過失をも包含するものと解される。したがつて、夫が妻を同乗させて運転する自動車と第三者が運転する自動車とが、右第三者と夫との双方の過失の競合により衝突したため、傷害を被つた妻が右第三者に対し損害賠償を請求する場合の損害額を算定するについては、右夫婦の婚姻関係が既に破綻にひんしているなど特段の事情のない限り、夫の過失を被害者側の過失として斟酌することができるものと解するのを相当とする。このように解するときは、加害者が、いつたん被害者である妻に対して全損害を賠償した後、夫にその過失に応じた負担部分を求償するという求償関係をも一挙に解決し、紛争を一回で処理することができるという合理性もある。 (引用終わり) |
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(最判平19・4・24より引用。太字強調及び※注は当サイトによる。) 不法行為に基づき被害者に対して支払われるべき損害賠償額を定めるに当たっては,被害者と身分上,生活関係上一体を成すとみられるような関係にある者の過失についても,民法722条2項の規定により,いわゆる被害者側の過失としてこれを考慮することができる(最高裁昭和40年(オ)第1056号同42年6月27日第三小法廷判決・民集21巻6号1507頁(※注:上記最判昭42・6・27を指す。),最高裁昭和47年(オ)第457号同51年3月25日第一小法廷判決・民集30巻2号160頁(※注:上記最判昭51・3・25を指す。)参照)。内縁の夫婦は,婚姻の届出はしていないが,男女が相協力して夫婦としての共同生活を営んでいるものであり,身分上,生活関係上一体を成す関係にあるとみることができる。そうすると,内縁の夫が内縁の妻を同乗させて運転する自動車と第三者が運転する自動車とが衝突し,それにより傷害を負った内縁の妻が第三者に対して損害賠償を請求する場合において,その損害賠償額を定めるに当たっては,内縁の夫の過失を被害者側の過失として考慮することができると解するのが相当である。 (引用終わり) |
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(最判昭46・9・30より引用。太字強調は当サイトによる。) 民法715条により被用者が事業の執行につき第三者に加えた損害を賠償すべき使用者の債務と同法709条により被用者自身が負担する損害賠償債務とは、いわゆる不真正連帯の関係にあり、債務者の一人について生じた事由は、債権を満足させるものを除き、他の者の債務に影響を及ぼさないものと解すべきである。 (引用終わり) |
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(最判平6・11・24より引用。太字強調及び※注は当サイトによる。) 民法719条所定の共同不法行為者が負担する損害賠償債務は、いわゆる不真正連帯債務であって連帯債務ではないから、その損害賠償債務については連帯債務に関する同法437条の規定(※注:平成29年法律第44号(債権法改正)による改正前のもの)は適用されないものと解するのが相当である(最高裁昭和43年(オ)第431号同48年2月16日第二小法廷判決・民集27巻1号99頁参照)。 (引用終わり) (参照条文)民法(平成29年法律第44号による改正前のもの) |
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(最判昭48・1・30より引用。太字強調及び※注は当サイトによる。) 本件事故車の運行につき、Dとともに、E夫婦もまた運行供用者の地位にあるとしても、両者の運行供用者としての責任は、各自の立場において別個に生じ、ただ同一損害の填補を目的とする限度において関連するにすぎないのであつて、いわゆる不真正連帯の関係に立つものと解される。そして、不真正連帯債務の債務者相互間には右の限度以上の関連性はないのであるから、債権を満足させる事由以外には、債務者の一人について生じた事項は他の債務者に効力を及ぼさないものというべきであつて、不真正連帯債務には連帯債務に関する民法438条(※注:現行の440条に相当する。)の規定の適用はないものと解するのが相当である。したがつて、E夫婦とBとの間に混同を生じ、E夫婦の債務が消滅したとしても、Dの債務にはなんら影響を及ぼさないものと解すべきであつて、Dの責任を前提として上告人の支払義務を認めた原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。 (引用終わり) ※注:本件は、Dの自動車を借りて、EF夫婦がその子G及びBと同乗し、使用人であるHに運転させてドライブに出かけたところ、Hが過失により交通事故を起こし、E、F及びGが死亡したという事案において、Dが自動車損害賠償保障法3条に基づく運行供用者としての責任を負うことを前提に、Bが、同法16条に基づいて、保険会社に対して支払請求を行ったもので、Dの責任を肯定するのが事案の解決としては適切であった点に注意を要する。
(参照条文)自動車損害賠償保障法
(保険会社に対する損害賠償額の請求) |
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(民法(債権関係)の改正に関する中間試案の補足説明(平成25年7月4日補訂)より引用。太字強調及び※注は当サイトによる。) 法律の規定により連帯債務とされるもののうち共同不法行為者が負担する損害賠償債務(民法第719条)については、判例・学説は、絶対的効力事由に関する一部の規定の適用がない不真正連帯債務に該当するとしているところ、本文ア(※注:更改、免除、混同、時効の完成等を相対効とする規律を指す。)は、絶対的効力事由を廃止するという点で、前記(1)(※注:履行の請求を相対効とする規律を指す。)とともに、判例上の不真正連帯債務に関する規律を原則的な連帯債務の規律として位置づけるものといえる。これによれば、不真正連帯債務という条文に存在しない概念を用いる必要性は失われることになる。 (引用終わり) (民法(債権関係)の改正に関する要綱案のたたき台(2)(民法(債権関係)部会資料67A)より引用。太字強調は当サイトによる。) 中間試案においては、債権者と連帯債務者の一人との間で混同が生じた場合についても、相対的効力に改めることが検討されていた。しかし、混同を相対的効力事由とすると、他の連帯債務者は、債権者(=連帯債務者)に対していったん債務を全部履行し、その後当該債権者(=連帯債務者)に対して求償することになる。このように同一の者に対して履行をした上で求償することは迂遠であることからすると、完全な相対的効力事由とすることは不適当である。 (引用終わり) |