令和7年司法試験論文式公法系第2問の参考判例等

(医療法勧告事件判例より引用。太字強調は当サイトによる。)

 医療法30条の7の規定に基づく勧告で開設申請に係る病院の病床数の削減を内容とするものは、医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待してされる行政指導として定められてはいるけれども、当該勧告を受けた者に対し、これに従わない場合には、相当程度の確実さをもって、病院を開設しても削減を勧告された病床を除いてしか保険医療機関の指定を受けることができなくなるという結果をもたらすものというべきである。そして、いわゆる国民皆保険制度が採用されている我が国においては、健康保険、国民健康保険等を利用しないで病院を受診する者はほとんどなく、保険医療機関の指定を受けずに診療行為を行う病院がほとんど存在しないことは公知の事実であるから、削減を勧告された病床を除いてしか保険医療機関の指定を受けることができない場合には、実際上当該病床を設けることができない不利益を受けることになる。このような医療法30条の7の規定に基づく上記勧告の保険医療機関の指定に及ぼす効果及び病院経営における保険医療機関の指定の持つ意義を併せ考えると、この勧告は、行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たると解するのが相当である。

(引用終わり)

(上記判例における藤田宙靖補足意見より引用。太字強調及び※注は当サイトによる。)

 当審の先例が示して来た一般的な考え方、すなわち、「行政庁の処分とは……(略)……公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているもの」……(略)……とする考え方(参照、最高裁昭和37年(オ)第296号同39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁(※注:ごみ焼却場事件判例を指す。)他。以下この考え方を、「従来の公式」と称する。)との関係について、若干の補足をしておくこととしたい。
 医療法30条の7の規定による開設中止勧告は、病院の開設許可等や医療法に基づく手続の関係では、行政指導としての性質を有するに止まり、名宛人の法律上の地位ないし権利義務に具体的な影響を及ぼすものではないこと、また、中止勧告がなされたとしても、名宛人の保険医療機関指定申請が当然に拒否されるという法律上の構造とはなっておらず、中止勧告が発せられれば、指定申請が拒否される可能性が高いとしても、それは事実上の問題に過ぎないのであって、勧告が直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定するものとは言えないことは、原審判決の指摘するとおりである。従って、「従来の公式」を、機械的に当てはめるとすれば、本件勧告に「行政庁の処分」としての性質を認めることはできないという結論が導かれることになるのであって、この意味において、原審判決が判示するところにも、理由が無いわけではない。
 ところで、「従来の公式」においては、行政事件訴訟法3条にいう「行政庁の処分」とは、実質的に講学上の「行政行為」の概念とほぼ等しいものとされているものであるところ、このような行為のみが取消訴訟の対象となるとされるのは、取消訴訟とはすなわち、行政行為の公定力の排除を目的とする訴訟である、との考え方がなされているからに他ならない。そしてその前提としては、行政活動に際しての行政主体と国民との関わりは、基本的に、法律で一般的に定められたところを行政庁が行政行為によって具体化し、こうして定められた国民の具体的な権利義務の実現が強制執行その他の手段によって図られる、という形で進行するとの、比較的単純な行政活動のモデルが想定されているものということができる。しかしいうまでもなく、今日、行政主体と国民との相互関係は、このような単純なものに止まっているわけではなく、一方で、行政指導その他、行政行為としての性質を持たない数多くの行為が、普遍的かつ恒常的に重要な機能を果たしていると共に、重要であるのは、これらの行為が相互に組み合わせられることによって、一つのメカニズム(仕組み)が作り上げられ、このメカニズムの中において、各行為が、その一つ一つを見たのでは把握し切れない、新たな意味と機能を持つようになっている、ということである。……(略)……先に見た当審判例における「従来の公式」は、必ずしもこういった事実を前提としているものとは言い難いのであって、従って、本件においてこれを採用するのは、適当でないものというべきである。

(引用終わり)

(令和5年司法試験の採点実感(公法系科目第2問)より引用。太字強調及び※注は当サイトによる。)

○ 十分な論証がないまま、「勧告は一方的になされるので、権力性を満たす」とのみ記載して権力性があると言い切る答案が目立った。

 (中略)

○ 次のとおり、平成17年判決(※注:医療法勧告事件判例を指す。)の意義を正確に論述することができていた答案は、多くなかった。
・ 後続処分の内容を病院開設の不許可と誤解する答案
・ 同判決が勧告の「法的効果」を認めたものと誤解する答案(昭和39年判決等の一般的な基準と平成17年判決の関係を整理していないことに基づくものと思われる。)

(引用終わり)

(京都地判平23・11・30より引用。太字強調及び※注は当サイトによる。)

 法(※注:生活保護法を指す。)62条1項は、被保護者に対し、法27条1項に基づく指導指示に従うべき義務を課し、法62条3項は、被保護者が上記義務に違反したときは、保護廃止を含めた不利益処分を課することができる旨定めていることからすれば、法62条3項は、法27条1項に基づく指導指示に従わなかった被保護者に対し、保護廃止等の不利益処分を課すことにより、法27条1項に基づく指導指示を間接的に強制する性格を有する。そして、法27条1項に基づく指導指示が、その内容において違法性を有する場合には、被保護者は上記指導指示に従う義務を有しないことは明らかであり、これを間接的に強制することは、法の趣旨にも反することからすれば、法62条1項が被保護者に対し従うべきことを定めた「必要な指導又は指示」とは、適法な指導指示のみを指すものであると解される。したがって、保護の実施機関による指導指示が違法なものである場合には、被保護者はこれに従う義務を負うものではなく、当該指示に従わなかったことを理由とする同実施機関による不利益処分は、違法というべきである。

(引用終わり)

(参照条文)生活保護法
27条(指導及び指示)
 保護の実施機関は、被保護者に対して、生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができる。
2 前項の指導又は指示は、被保護者の自由を尊重し、必要の最少限度に止めなければならない。
3 第1項の規定は、被保護者の意に反して、指導又は指示を強制し得るものと解釈してはならない。

62条(指示等に従う義務)
 被保護者は、保護の実施機関が……(略)……第27条の規定により、被保護者に対し、必要な指導又は指示をしたときは、これに従わなければならない。
2 ……(略)……
3 保護の実施機関は、被保護者が前2項の規定による義務に違反したときは、保護の変更、停止又は廃止をすることができる。
4 保護の実施機関は、前項の規定により保護の変更、停止又は廃止の処分をする場合には、当該被保護者に対して弁明の機会を与えなければならない。この場合においては、あらかじめ、当該処分をしようとする理由、弁明をすべき日時及び場所を通知しなければならない。
5 (略)

(秋田地判平5・4・23より引用。太字強調及び※注は当サイトによる。)

 行政事件訴訟法3条にいう処分は、行政庁の公権力の行使といえる行為であって、個人の法律上の地位ないし権利関係に対し、直接に影響を及ぼすものをいうと解される。
 ところで、法(※注:生活保護法を指す。)62条1項は、被保護者に対し、法27条1項に基づく指導指示に従うべき義務を課し、更に、被保護者の右義務違反に対しては保護実施機関が保護の変更、停止又は廃止という不利益処分を課する方法により右指導指示の内容を強制的に実現する手段が予定されていること(法62条3項)からすれば、右指導指示に従うべき義務は、被保護者が負う具体的な法的義務というべきであり、これを単なる一般的努力義務と解することはできない。被告は、法27条1項に基づく指導及び指示は、被保護者の自由を尊重し、必要最少限度に止めるべきものとされていること(法27条2項)、被保護者の意思に反して強制してはならないものとされていること(同条3項)から、右指導指示に基づく被保護者の義務は、一般的努力義務にとどまると主張する。しかしながら、指導指示が右のような要件で行なわれるにしても、現実に、これがなされれば、被保護者は前記のような不利益な地位に置かれる以上、一般的努力義務を負うにすぎないとは到底いえない。
 また、被告は、右義務違反の場合における保護の変更、停止又は廃止という不利益処分は、具体的には、保護実施機関がその裁量により必要な各処分をすることにより発生するから、指導指示を強制的に実現する手段としては間接的なものにとどまると主張する。確かに、法27条1項に基づく指導指示とその遵守義務違反の場合に課せられる保護の不利益変更との関係は被告が述べるとおりであるが、右不利益処分が右遵守義務違反を要件として課せられるものである以上、指導指示の遵守義務が不利益処分により強制される法的義務であると解する妨げとなるものではないというべきである。
 更に、被告は法27条に基づく指導指示は行政指導としての性格を持つとの主張をするが、本来、行政指導とは行政庁がその所管にかかる行政事務につき一定の行政目的を達成するために行う、非権力的方法としての勧告、警告等の事実的な行為を指称するものであるから、法27条に基づく指導指示のごとく、明文の法令の根拠に基づき、国民に一定の法的義務を課する行為がこれに含まれないことは明らかである。
 もっとも、法27条に基づく指導指示であっても、場合によっては、その内容が被保護者に対し一般的抽象的に生活上の努力義務を課するにとどまることもあり得るし、その場合には、右指導指示に従うべき義務の性質が抽象的な努力義務となることもあり得る。

2.しかしながら、本件の場合についてこれを見るに、乙第7(本件指導処分の通知書の原案)によれば、本件指導指示の内容は、本件預貯金中45万7000円について弔慰の目的以外の支出を禁止するものであると認められるから、抽象的努力義務を定めたにすぎないとは到底いえない。

3.以上によれば、本件指導指示は原告の法律上の地位に直接に影響を及ぼす行政処分ということができる。

(引用終わり)

(参照条文)生活保護法
27条(指導及び指示)
 保護の実施機関は、被保護者に対して、生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができる。
2 前項の指導又は指示は、被保護者の自由を尊重し、必要の最少限度に止めなければならない。
3 第1項の規定は、被保護者の意に反して、指導又は指示を強制し得るものと解釈してはならない。

62条(指示等に従う義務)
 被保護者は、保護の実施機関が……(略)……第27条の規定により、被保護者に対し、必要な指導又は指示をしたときは、これに従わなければならない。
2 ……(略)……
3 保護の実施機関は、被保護者が前2項の規定による義務に違反したときは、保護の変更、停止又は廃止をすることができる。
4 保護の実施機関は、前項の規定により保護の変更、停止又は廃止の処分をする場合には、当該被保護者に対して弁明の機会を与えなければならない。この場合においては、あらかじめ、当該処分をしようとする理由、弁明をすべき日時及び場所を通知しなければならない。
5 (略)

(君が代事件判例より引用。太字強調は当サイトによる。)

 差止めの訴えの訴訟要件については、当該処分がされることにより「重大な損害を生ずるおそれ」があることが必要であり(行訴法37条の4第1項)、その有無の判断に当たっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとされている(同条2項)。
 行政庁が処分をする前に裁判所が事前にその適法性を判断して差止めを命ずるのは、国民の権利利益の実効的な救済及び司法と行政の権能の適切な均衡の双方の観点から、そのような判断と措置を事前に行わなければならないだけの救済の必要性がある場合であることを要するものと解される。したがって、差止めの訴えの訴訟要件としての上記「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められるためには、処分がされることにより生ずるおそれのある損害が、処分がされた後に取消訴訟等を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではなく、処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが困難なものであることを要すると解するのが相当である。
 本件においては……(略)……本件通達を踏まえ、毎年度2回以上、都立学校の卒業式や入学式等の式典に際し、多数の教職員に対し本件職務命令が繰り返し発せられ、その違反に対する懲戒処分が累積し加重され、おおむね4回で(他の懲戒処分歴があれば3回以内に)停職処分に至るものとされている。このように本件通達を踏まえて懲戒処分が反復継続的かつ累積加重的にされる危険が現に存在する状況の下では、事案の性質等のために取消訴訟等の判決確定に至るまでに相応の期間を要している間に、毎年度2回以上の各式典を契機として上記のように懲戒処分が反復継続的かつ累積加重的にされていくと事後的な損害の回復が著しく困難になることを考慮すると、本件通達を踏まえた本件職務命令の違反を理由として一連の累次の懲戒処分がされることにより生ずる損害は、処分がされた後に取消訴訟等を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものであるとはいえず、処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが困難なものであるということができ、その回復の困難の程度等に鑑み、本件差止めの訴えについては上記「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められるというべきである。

(引用終わり)

(参照条文)介護保険法8条
 (略)
 2~27 (略)
 28 この法律において「介護老人保健施設」とは、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者(……(略)……。以下この項において単に「要介護者」という。)に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設として、第94条第1項の都道府県知事の許可を受けたものをいい、「介護保健施設サービス」とは、介護老人保健施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話をいう。
 29 (略)

(大阪地判20・1・31より引用。太字強調は当サイトによる。)

 健康保険法78条1項は、監査について定め、同法80条、81条は、保険医療機関の開設者や保険医等が監査に出頭しなかったことを保険医療機関の指定ないし保険医の登録の取消事由として定めている。もっとも、これらの各規定の趣旨に照らせば、保険医療機関の開設者や保険医が監査に出頭しないことに正当な理由があると認められる場合には、上記各取消事由には該当しないと解すべきである。

(引用終わり)

(参照条文)
◯丹波篠山市環境保全条例
(目的)
第1条 この条例は、丹波篠山市環境基本条例(平成22年篠山市条例第9号。以下「環境基本条例」という。)の本旨に基づき、市民が健康で文化的な生活を営むことのできる快適な環境を確保するため、生活環境の破壊を防止するとともに、良好な景観を創造することにより、市民の福祉の増進に寄与することを目的とする。

(指定家畜飼養施設設置の届出)
第29条 規則で定める家畜を飼養する施設(以下「指定家畜飼養施設」という。)を設置しようとする者は、あらかじめ設置届出書その他の書類を市長に提出しなければならない。
2 指定家畜飼養施設は、別表(※注:「鶏」については、500羽以上の場合には近隣住家からの距離50メートル未満、1000羽以上の場合は近隣住家からの距離100メートル未満とされている。)で定める規制距離内に設置(改築を除く。)してはならない。ただし、当該規制距離内の近隣住家及び当該地域を代表する者の同意があるとき、又は市長があらかじめ丹波篠山市環境審議会の意見を聴いた上で生活環境を侵害しないと認めるときは、この限りでない。
3 市長は、第1項の届出書の内容が法令等で定める規制基準のすべてに適合しているものと認めるときは、当該届出を受理しなければならない。
4 市長は、第1項の届出を受理するにあたっては、生活環境の侵害を防止するために必要な限度において条件を付すことができる。

(指導及び勧告)
第32条 市長は、指定家畜飼養施設が法令等で定める規制基準に適合していないとき、又は生活環境を著しく侵害しているものと認めるときは、当該家畜飼養施設の設置者に対し、必要な措置をとるべきことを指導し、又は勧告することができる。

(改善命令等)
第33条 市長は、指定家畜飼養施設の設置者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該設置者に対し、必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
 (1)~(4) (略)
 (5) 前条の規定による指導又は勧告に従わないとき。
2 (略)

(公表)
第33条の2 市長は、前条の規定による命令を受けた指定家畜飼養施設の設置者が正当な理由なく命令に従わないときは、次に掲げる事項を公表することができる。
 (1) 命令に従わない者の住所及び氏名(法人にあっては、主たる事務所の所在地並びに名称及び代表者の氏名)
 (2) 命令の対象である施設の所在地
 (3) 命令の内容
2 市長は、前項の規定による公表を行うときは、当該命令を受けた施設の設置者に意見を述べる機会を与えなければならない。

◯丹波篠山市環境保全条例施行規則
(指定家畜飼養施設等の定義)
第15条 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 (1) 指定家畜飼養施設  条例別表に定める家畜及び飼育数を飼養する目的で設置する次に掲げる施設をいう。
  ア 畜舎又は家禽舎
  イ~カ (略)
 (2)~(5) (略)

◯丹波篠山市環境基本条例
(環境審議会)
第17条 市は、環境の保全と創造に関する事項を調査審議するため、丹波篠山市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、次に掲げる事項を審議する。
 (1)~(3) (略)
3 審議会は、20人以内の委員をもって組織する。
4 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱し、又は任命する。
 (1) 学識経験を有する者
 (2) 公募市民
 (3) その他市長が必要と認める者
5 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(丹波篠山市議会令和元年第120回8月23日会議議事録より引用。太字強調は当サイトによる。)

市民生活部長(野々村康君)
 ただいま御上程いただきました議案第53号 丹波篠山市環境保全条例の一部を改正する条例につきまして、提案理由の説明を申し上げます。
 議案書、条例改正新旧対照表及び議案第53号説明資料をごらんください。
 改正の趣旨につきまして、まず氏名の公表については、丹波篠山市環境保全条例は、平成11年4月1日に施行され、牛、豚、イノシシ、鶏について、同条例施行規則で定める家畜数以上を飼養する場合、家畜飼養施設の設置の届け出等が義務づけられています。
 また、施設が法令等で定める規制基準に適合していないとき、または生活環境を著しく侵害しているものと認めるときは、施設の設置者に対し、必要な措置をとるべきことを指導し、または勧告することができると規定しています。
 そして、条例第33条において各届け出の提出義務に違反しているときや市の指導、勧告に従わないときは、市は設置者に対し、必要な措置をとるべきことを命ずることができるとし、改善命令について規定しています。
 しかしながら、改善命令に従わないことによる罰則等はなく、その実効性を確保することが困難であるため、新たに改善命令に従わないときは、命令に従わない者の住所、氏名及び改善命令の内容等を公表するものです。

 (中略)

 以上で、提案理由の説明とさせていただきます。
 御審議いただき、御決定賜りますようお願い申し上げます。

 (中略)

市長(酒井隆明君)
 それでは、私のほうからは、提案に係るこれまでの状況について、念のためにですね、説明をさせていただきたいと思います。
 今回の提案は、御承知のとおり市内における、ある事業者と集落との関係のことがそのもととなっております。ある事業者が養鶏業を営んでおられますが、平成28年ごろからどんどん頭数がふえていった様子で、現在では約6、200羽を飼育されていると推定されます。そのころから、集落でにおいの問題が生じ、集落から事業者に対し、再三の改善を求めるにもかかわらず、何ら改善がなされず、誠意のある対応をされなかったと聞いています。地元自治会の要望書では、住民の意向に耳を傾ける姿勢が皆無と思える言動と記載されています。
 平成30年4月、集落から丹波篠山市への対応を求められました。状況の調査、また臭気の測定などをしていきました。その結果、深刻な事態が生じていると判断し、市としての対応が必要と判断をいたしました。平成30年11月30日付で事業者に対し、改善の勧告を行いました。これは悪臭防止法、篠山市環境保全条例に違反するので、その改善を勧告するというものです。中身を申し上げますと、1点は悪臭防止法。アンモニアが規制基準である1ppmを上回る1.6ppmが検出されたために、改善計画書を提出することとしました。2点目は、篠山市環境保全条例施行規則第15条では、鶏の場合、500羽以上で50メートル以上の近隣住家よりの距離が必要であるにかかわらず、これを満たしておらず、この基準を満たすということです。3つ目は、篠山市環境保全条例第29条では、家畜を飼養する施設を設置しようとする者は、設置届け出書を提出しなければならないとされていますが、これがなされていないため、提出をすること。このような改善の勧告を平成30年11月30日付でしたものです。
 これに対し、事業者からは、平成30年12月27日付で、事業者の代理人弁護士から通知があり、資料の提出を求められました。これに対し、平成31年1月5日付で、この資料の提出など回答をいたしました。しかし、その後の改善も、また届け出もなされておりませんので、平成31年3月13日付で、事業者に対し、改善の命令・勧告を重ねていたしました。1つは、悪臭防止法違反。悪臭物質の排除防止設備の改良などの勧告をしました。2つは、篠山市環境保全条例施行規則。距離制限を満たすよう勧告をいたしました。3つ目は、篠山市環境保全条例。施設の設置届け出書の提出を命じました。しかし、これをしたのが平成31年3月13日です。しかし、その後の改善また届け出も何もなされておりません。そこで……(略)……氏名公表の条例改正を提案をしたところです。また、距離制限の距離の検討もしましたが、鶏については50メートルという規制しかありませんでしたので、少なくとも1、000羽、鶏1、000羽以上のときは、少なくとも100メートルは必要だと判断し、7月30日付で規則をその旨に変更をしています。なお、それについての地元自治会からの要望も別にいただいています。

 (中略)

渡辺拓道君
 氏名の公表についてでございます。この氏名の公表の提案の意味でございますけれども、氏名の公表については、条例の実効性を確保することが目的というようなことの御説明をいただきました。ただ、規制基準を定めている法律、例えば、先ほどありました悪臭防止法とか、あるいは水質汚濁防止法、それから県の環境の保全と創造に関する条例、これらにもある規制基準の部分に対しては、それぞれの条例において命令の上に罰則がございます、既に懲役とか、罰金とかというもの。
 ということでございますので、実効性についてはそれらの法律とか、県条例は一定担保しておるというふうに理解をしておるわけですので、今回の改正は特に本市で定めている、その環境保全条例と、それの施行規則にあります、いわゆる届け出規制と、それから立地制限、そのあたりに実効性を持たせるのが今回の提案理由のポイントやというふうに理解をさせてもらってよろしいでしょうか。

市長(酒井隆明君)
 ……(略)……なぜ氏名の公表を入れるのかということなんですけれども、条例で定め得るものとしては、氏名の公表が一番最適ではないかと思います。他のその市町の規制の罰則的なものを見ますときに、施設の撤去を命じることができるとか、あるいは5万円以下の罰金とか、そういったものを条例で決めているところもありますが、これは条例でどこまで決められることができるか、罰則なんかは基本的に条例では難しい。法律で決めるべきものだと一般的にされていますので、私のほうは、せめてですね、しかし、この条例規則を実効あるものとするためには、改善命令を出しても改善されないまま、何も後できないというのでは困りますから、せめて氏名の公表はやはりきちんとすべきであるというふうに考えたものです。
 以上です。

(引用終わり)

(丹波篠山市議会令和2年第121回長月会議(9月16日)議事録より引用。太字強調は当サイトによる。)

市長(酒井隆明君)
 桑原地内の鶏舎は、指定家畜飼養施設の設置届を未提出のまま、平成28年から29年頃にかけて鶏舎を、お話のとおり大幅に拡大されました。鶏舎の大幅な拡大により、市長に対しては平成30年4月頃、地域住民の皆さんから、悪臭などの被害と改善を求められました。丹波篠山市は、地域の皆さんからの苦情を把握し、平成30年4月から、現地確認また住民の皆さんや事業者から状況調査したり、事業者に対する指導を行ってきました。しかし、平成30年10月に臭気の測定を実施したところ、悪臭防止法の定める規制基準であるアンモニア1ppmを超える1.6ppmが計量されました。そのため、丹波篠山市は、事業者に対し、同年11月、「悪臭防止法違反に基づく改善勧告」「篠山市環境保全条例に係る設置届で未提出違反、その設置届出違反に係る改善命令」「篠山市環境保全条例に係る規制距離違反に基づく改善勧告」を発令いたしました。しかし、期限内に改善計画等の提出を含め改善命令などに従わなかったため、再度、平成31年3月に改善命令、改善勧告を発令しています。
 二度にわたり、改善の命令・勧告を発令しましたが、改善がなされなかったために、丹波篠山市環境保全条例の実効性を確保するためにこの条例を改正することとし、改善命令に従わない者に対しては「氏名を公表する」との条例改正を令和元年9月に改正を行いました。そしてその間にも、令和元年7月、自治会の要望やパブリックコメントにおいて他の家畜に定められている頭羽数に応じた規制距離が鶏について定められていないとの御意見があり、「鶏500羽以上、50メートル」という距離規制に加えて、「鶏1、000羽以上、100メートル」にするという丹波篠山市環境保全条例施行規則の改正も行っています。また、この事業者は、この二度の改善命令・勧告にかかわらず、改善が見られず、また地域住民との協議も応じられなかったために、8月15日には、この事業者に対して、認定農家農業経営改善計画認定の取消処分も行っています。その間も丹波篠山市と自治会、地域の方との協議は継続していますが、地域の皆さんからは、「臭くて御飯が食べられない」「洗濯物が干せない」「24時間の換気扇の騒音で寝られない」「監視カメラによる近隣住民へのプライバシーの侵害」「夜間の照明」「農道の通行妨害」「犬にかまれた」「鶏ふんの投棄」等の苦情がたくさん寄せられています。
 令和元年11月にも臭気測定を実施したところ、アンモニアにおいて基準値を超える1.4ppmが計量されました。そのため、同年12月に3度目の改善命令・勧告を発令しましたが、それにもかかわらず、本年8月3日及び6日にそれぞれ臭気測定の結果、アンモニアにおいて規制基準を超える1.1ppm、1.2ppmが計量されています。この結果を踏まえて、今後、「悪臭に係る改善命令」「丹波篠山市環境保全条例に係る指定家畜飼養施設の設置届出違反に基づく改善命令」「丹波篠山市環境保全条例に係る規制距離違反に基づく改善命令」を検討しています。これらの改善命令に従わない場合には、昨年9月に改正をされました「氏名等の公表」を実施する予定としています。

 (中略)

法務専門員(川嶋将太君)
 まず、事業者の市の処分に対する対応という御質問の点ですが、市の改善命令や改善勧告、認定農家の取消しについては、いずれも訴訟で争われております。飼養施設設置届の未提出に係る改善命令に対する訴訟については、現在も継続しておりますが、悪臭防止法及び丹波篠山市環境保全条例の距離規制に係る改善勧告に対する訴訟については、裁判所の指示により既にもう取下げがなされております。また、認定農家の取消しに係る執行停止申立事件につきましても、裁判所のほうが却下の決定をしております。
 事業者は、本件問題に対し、市に対し現実的には訴訟が争われているというところが現状でございます。しかしながら……(略)……地域住民の皆様が調停を申し立てられ、事業者と調停において協議をされていることからも可能であれば、市と地域住民、事業者が今後調停等の協議を経て、本件問題を早期に解決できれば最善であるというふうに考えております。

(引用終わり)

(丹波篠山市議会令和2年第121回師走会議(12月16日)議事録より引用。太字強調は当サイトによる。)

市長(酒井隆明君)
 平成30年4月から、地域住民の皆さんからの苦情を把握し、現地確認や当該の養鶏業者に対しての指導を繰り返し、地域住民との協議も呼びかけました。しかし、改善が見られずに、平成30年10月に実施した臭気測定において、悪臭防止法の定める規制基準を超えたことを受けて、丹波篠山市は、養鶏業者に対し、同11月、改善勧告及び改善命令を行いました。養鶏業者が勧告及び命令に従わなかったために、平成31年3月に再度通知をいたしました。また、丹波篠山市環境保全条例の実効性を確保するために、令和元年9月にこの条例の一部の改正を行って、改善命令に従わない者に対して、氏名等を公表する旨の規定を設けました。令和元年11月にも臭気測定を実施したところ、アンモニアにおいて規制基準を超えたことを受け、同12月に3度目の改善命令、勧告を発令しました。さらに、本年、令和2年8月の臭気測定においてもアンモニアが規制基準値を超えていたので、9月15日付で改善勧告を行いました。ここまでが、長月会議で答弁いたしました内容です。
 その後、鶏舎建設地が農業振興地域の整備に関する法律に規定する「農用地」として利用されていないことから、「農用地」として利用するように令和2年10月2日付で勧告をしています。また、農地の無断転用が確認されたことから、丹波篠山市農業委員会会長から本年10月2日付で農地法第51条に基づく是正勧告が行われました。さらに、是正が見られないことから、11月4日付で、兵庫県知事に対し、違反転用事案として報告をされています。兵庫県では、この報告を受け、11月30日に現地調査、養鶏業者への事情聴取が行われました。今後、現地調査、事情聴取の結果を基に手続等について、兵庫県内部において協議される予定と聞いています。協議の結果、違反転用と認められた場合、是正勧告が行われ、勧告に従わない場合には、農地法では、県知事が原状回復を命ずることができる規定となっています。
 以上の違反行為や悪臭物質についての確認をするために、丹波篠山市は、養鶏業者に対し、悪臭防止法及び条例に基づいて、令和2年9月30日、10月2日、立入検査を求めましたが、いずれも拒否をされました。このようなことから、10月14日付で改善勧告を行いました。また、10月16日、11月17日の立入検査においても拒否をされています。さらに、度重なる改善勧告に従わず、経営を継続したことに対し、11月18日付で、改善命令を発令しています。
 なお、立入検査については、11月18日に応じていただいています。この立入検査において、「近隣住家から養鶏場までの距離」「飼育数」などを養鶏業者に聞き取り、条例第29条第2項に基づく規制距離基準に違反していることを確認しています。また、10月22日には、県民局に赴いて、丹波農林振興事務所や朝来家畜保健衛生所等の職員と意見交換し、問題の早期解決に向けての協力を要請したところです。今後、このような改善命令に対し、従わない場合には、養鶏業者に意見陳述をする機会を与えた上、氏名等の公表をすることを検討していきます。
 なお、先週になって、この養鶏業者から市長に対し、協議の場を設けてくれとの要請があり、ちょうど昨日、この事業者と市長の間で協議をいたしました。初めてのこのような申出であり、それに応じたものです。一言で言いますと、退去、現在のところから退去する意向があるので、市としても協力をしてほしいということでありました。しかし、具体的な、どこにどう退去するかということではなくて、その意向を示されたものです。

(引用終わり)

(丹波篠山市議会令和3年第121回弥生会議(3月18日)議事録より引用。太字強調は当サイトによる。)

市長(酒井隆明君)
 桑原地内にある高坂鶏農園に対しては、悪臭防止法に基づく規制基準違反、丹波篠山市環境保全条例に基づく規制距離基準違反などによって、平成30年11月から令和2年11月にかけて6回にわたり改善勧告、改善命令を行いましたが、依然として改善が見られないことから、同条例に基づく氏名等の公表を本年1月28日に行ったところです。公表は、記者発表や市ホームページへの掲載、市役所、各支所の掲示場での掲示のほか、市の広報紙「丹波篠山」3月号に掲載をしました。
 今回の氏名等の公表については、制裁が目的ではなくて、公害問題の早期解決に向けて前進を図り、市民の生活環境を守るための措置であると考えています。これだけ長期間、桑原地域の皆さんの生活環境を侵害することは、人権侵害にも当たると考えられ、丹波篠山市では、人権尊重の温かいまちづくりを目指しているのにかかわらず、このような状況が長期続いていることは、誠に遺憾に堪えません。今後とも、現在実施している臭気測定などを令和3年度も継続的に実施し、必要に応じ立入検査などを行っていきます。

上田英樹君
 氏名公表の意義について、先ほど市長が「制裁が目的でなく、公害問題の早期解決に向けて前進を図り、市民の生活環境を守る措置です」ということで、端的にお答えをいただいたところです。市長がこの氏名公表の条例改正を提案されたのが、令和元年120回8月23日会議で提案され、9月3日の長月会議で可決され、公布をされております。その上程のとき、市長はこのような発言をされております。「条例で定めるものとしては、氏名の公表が一番最適ではないか。他市町の罰則的なものとしては、施設撤去命令や5万円以下の罰金を条例で決めているところもあるが、罰則は法律で決めるのが一般的とされており、改善命令を出しても改善されないまま、何も後できないのでは困りますから、せめて氏名の公表はすべきであると考えたものです」ということで発言をされておるんですけれども、先ほど意義、目的は端的に答弁いただいたんですけれども、もう少し今回の公表の意義とか、効果を具体的に示していただければ大変ありがたいと思います。

法務専門員(川嶋将太君)
 法務専門員の川嶋です。
 先ほど上田議員のほうから質問がありました氏名公表の意義とその効果についてという質問でしたけれども、先ほど市長のほうから説明がありましたように、丹波篠山市は事業者に対し、平成30年11月から改善命令及び勧告を発令してきましたが、改善が認められないため、令和元年の9月に環境保全条例を本会議において改正し、改善命令に従わない者に対して、氏名等の公表をすることで、改善命令、ひいては環境保全条例の実効性を確保することとしました。先ほどの市長の答弁のとおり、氏名公表は直接的な制裁ではありませんが、改善命令に従わない者に対して、問題を早期に解決するインセンティブが働くという意味で、氏名公表の条例改正の意義があったというふうに考えております。
 次に、個別の案件になりますが、先ほど説明があったように、本件事業者に対しては、平成30年11月から2年以上の期間にわたって合計6回の改善命令ないし改善勧告を発令してきましたが、今般改善命令が認められないため、令和3年1月28日に氏名公表を行いました。氏名公表からまだ1か月半しか経過しておらず、その効果については、詳細な具体的な検討、検証というのはできておらず、今後、詳細な検討をしていく必要があるというふうには考えております。しかしながら、ホームページや市の広報で公表したことにより、多くの方に本件問題を認識していただけたものと、そういうふうに考えております。そして、市の広報にも掲載されましたが、近隣住民の皆さんや自治会が悪臭や騒音に長年苦しんでいるという、近隣住民の生の声を様々な形で発信しやすくなったのではないかというふうに考えております。
 そういった意味では、この氏名公表が、今回の広報でも紹介されておりまして、地域住民の声というのが3月号ですかね、載っています。ここに「悪臭や騒音に長年苦しんでいます」という住民の主な声ということで具体的な住民の声が記載されております。こういったことから、様々な形で地域の皆さんがこれまで長年苦しまれてきたことをいろんな機関において発信されることが可能になったと。そういった意味では、この氏名公表は重要な意義があったというふうに考えております。
 以上です。

上田英樹君
 今の氏名公表の中で言っていただいたんですけれども、今回、市長に質問ですので、行政法規上の問題を市に問いたいということでさせていただきました。そして、今回の法務専門員の今の答弁では、今回氏名公表したことにより、住民の声も発信しやすくなったんじゃないかなということで、住民側の今後の調停とか、ほかの事業者との協議に向けて、また今の気持ちを皆さんに伝えたいというところにも効果があったんじゃないかなというような答弁をいただいたところでございます。
 それで、公表ということで、今も具体的に平成30年から6回行ったということで、広報にも詳しく書いてあるんですけれども、私もこの広報をちょっと見ましたら、ちょっとじゃない、熟読をさせていただきましたら、平成30年11月に悪臭防止法等に基づく改善勧告、第1回改善命令、改善勧告。平成31年3月には、期限内に改善計画など提出を求め、改善命令に従わなかったため、第2回改善命令、改善勧告を発令。令和元年12月、アンモニアの規制基準を超える1.41ppmが計量されたため、第3回改善命令、改善勧告を発令。令和2年9月、8月3日と6日に臭気測定を実施し、アンモニアの規制基準を超える1.1ppmと1.2ppmが計量され、悪臭防止法違反と生活環境を著しく侵害していることについて、第4回の改善勧告発令。市環境保全条例に基づく規制距離違反など立入り拒否を含む5項目での第5回改善勧告発令。令和2年11月、度重なる改善勧告に従わず、経営を継続してきたことに対し、市環境保全条例に係る指定家畜飼養施設の設置届未提出に係る違反に基づく改善命令など6項目について、第6回の改善命令を発令したということで、今回の広報にも詳しく書いておられます。
 その中で、今、市長の答弁では今後も臭気測定とか立入検査などは継続的に実施するという答弁をいただいたんですけれども、この丹波篠山市環境保全条例は、今言いましたいろんな改善勧告があり、そして氏名公表までというような条例になっておるんですけれども、今回氏名公表をされ、そしてまた今後ともこのようなこの環境保全条例に違反した場合は、臭気測定とか立入検査だけで終わるのか、それとも再度の改善命令とか、まだまだやはりまだ違反をされていますよということで、今後とも氏名公表を行われるのか、その辺の条例に基づく市の行政法に基づく手続はどうなるのでしょうか。

市長(酒井隆明君)
 氏名公表は公表するだけですから、それ以上の強制的な原状回復を命じたり、それを強制的に収去させたり、あるいは悪臭防止法違反、農地法違反で刑罰が科されたりというような、その強制的な大きな力はありませんが、条例違反で市がなし得ることは、氏名公表が今のところ一番最大のところですので、氏名公表をすることによって、多くの市民の皆さんに関心を持っていただき、場合によっては市外の方にも関心を持っていただき、このような困っておられる住民の生活がこのままでよいのかということを市民の皆さんに考えていただいたとき、そこに大きな力が働くのではないかということを期待をしているものです。
 公表するまでは、公害と私が広報紙で書いただけで、それに対する異議を申されました。したがって、桑原の皆さんも何か言うと、訴えられたり、言われるんではないかというような思いを持っておられたと思いますけれども、もうやむを得ず、公表した、公表せざるを得なかった、そういう決断をしたわけですから、この問題は、丹波篠山市として明らかに生活環境の侵害であり、公害であるということを明示したわけですから、市民の皆さんにも広くこれを知っていただいて、このような状況が自分の生活と関係ないから当事者間で解決したらいいと皆さんが思われるのでは決してないはずですので、こういったいろんな力によって解決をしていきたいということです。
 強制的な方法としては、この農地法違反それから悪臭防止違反。こういったものがありますから、こういったものもできるだけ検討して、関係機関に働きかけていきたいと思いますし、市としてもこれまでどおりかもしれませんが、測定をしたり、改善命令をしたり、公表したりということを繰り返すしかないかもしれませんが、あらゆる方法を検討していきたいと思っています。

(引用終わり)

(丹波篠山市ホームページ令和5年9月25日「桑原地区の養鶏事業者からの悪臭問題「生活環境の著しい侵害」と認定(市長日記R5.9.25)」より引用。太字強調は当サイトによる。)

 丹波篠山市の抱える公害問題に、桑原地区の養鶏事業者からの悪臭などの問題があります。

 (中略)

 この件で最後に残っていた裁判である令和2年11月18日付での改善命令についての裁判に関しては、市は途中の事業者の裁判の取り下げに同意せず、判決をもらうこととしました。
 その判決が9月12日にありました。

 (中略)

 結論は、「訴えの却下」となりました。
 その理由は、市の条例に基づく改善命令はそれにより定められた措置をとるかどうかを事業者は自由に決めることができ、法的に強制されるものではないので、取り消し訴訟の対象とはならないというものです。

 (中略)

 ただし、市の条例に基づく改善命令が、仮に法的に強制される処分であった場合には、農地法・農振法違反、悪臭防止法の立入検査拒否の点について、農地法の権限は都道府県知事にあることや、農地の保全と市の生活環境を守る条例とは別のものであると解して、これを処分の根拠とすることはできないと指摘されました。

(引用終わり)

(丹波篠山市議会令和3年第122回長月会議(9月7日)議事録より引用。太字強調は当サイトによる。)

環境みらい部長(羽馬辰也君)
 ただいま御上程賜りました議案第49号 丹波篠山市環境保全条例の一部を改正する条例を定めることについて、提案理由の説明を申し上げます。

 (中略)

 丹波篠山市環境保全条例は、市民が健康で文化的な生活を営むことのできる快適な環境を確保するため、生活環境の破壊を防止するとともに、良好な景観を創造することにより、市民の福祉の増進に寄与することを目的としています。
 同条例では、牛、豚、猪、鶏の家畜を別表で規定しています一定数以上飼育する場合、指定家畜飼養施設の設置届、また、同条例施行規則で定められた事項の変更届及び指定家畜飼養施設の完成届の提出義務を課しています。
 また、指定家畜飼養施設が法令等で定める規制基準に適合していないとき、また生活環境を著しく侵害しているものと認めるときは、当該施設の設置者に対して必要な措置を取るべきことを指導し、または勧告することができるとし、規定をしています。
 そして、条例第33条において、各届出の提出義務に違反している場合や市の指導、勧告に従わない場合、市は設置者に対し必要な措置を取るべきことを命ずることができるとし、改善命令について規定しています。
 さらに、改善命令に従わない場合、命令に従わない者の住所、氏名及び改善命令の内容等を公表する規定を追加する条例改正を、令和元年9月に行いました。
 今回、主な改正点は、改善命令の実効性をさらに確保するため、当該施設に係る公害を発生させる事業の停止、または施設の設置の中止もしくは施設の撤去を命ずることができることに関連して、次の4点を追加するものです。
 まず1点目として、改善命令の項目に施設の撤去命令等を追加します。
 撤去命令を発令する際には、市長が生活環境を著しく侵害しているものと認め、かつ条例第33条第1項各号に該当するときに、あらかじめ第三者機関である「丹波篠山市環境基本条例第17条の規定による丹波篠山市環境審議会」に生活環境を著しく侵害しているかの意見を聴くこととしています。法令違反などの客観的事実に加えて、「うるさくて眠れない」「臭くて窓を開けることができない」など、周辺地域における生活環境の侵害という主観的事実を公平かつ公正な第三者機関に御意見をいただくことで、撤去命令発令には、慎重かつ適正な判断ができると考えています。
 次に2点目には、改善命令を発令する要件に規制距離基準違反を明確化します。
 これまでも施設が法令等で定める規制基準に適合していないときは、指導又は勧告ができるとし、その指導又は勧告に従わない場合に、改正前の条例第33条第1項第4号により改善命令を命ずることができました。同様に規制距離基準違反である、条例第29条第2項に違反している場合も、改正前の条例第33条第1項第4号により、改善命令を命ずることができました。しかしながら、先般、条例第29条第2項を個別に条例に明記したことに加え、今般の条例改正で行政代執行の規定を設けることから、規制距離基準に適合していない場合にも行政代執行の対象となる施設の撤去等を命ずることができることを明確化するため、条例第33条第1項第2号を単独の号として追加をいたします。
 3点目として、条例施行以前に設置されている現行施設においては、規制距離基準を適用除外することについてです。
 令和元年に、本条例施行前である平成11年3月31日までに指定家畜飼養施設を設置されていた方に設置届の提出をいただくよう改正しました。その設置届の記載内容にある施設には、遡及して第29条第2項に規定する規制距離基準が適用されることはありません。そのことを附則に記載します。
 最後4点目として、改善命令を履行しない場合に、行政代執行の規定を設けて実効性を高めます。
 代替的作為義務である改善命令を履行しない場合において、他の手段によってその履行を確保することが困難であり、その不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、行政代執行法に基づき、代執行を行うことができる規定を条例第33条の3として新たに設けます。
 以上4点が改正点ですが、この条例改正に相当な周知期間が必要なことから、施行期日につきましては、令和3年12月1日とします。
 以上、提案理由の説明とさせていただきます。
 御審議賜り、御決定いただきますようによろしくお願いします。

渡辺拓道君
 ……(略)……今回のこの条例の提案というのは、市長が令和3年度施政方針で述べられて取り組むとされた、桑原の公害問題の取組の一環であるということなのか。あるいは、市全体の環境衛生状況について強化をしていこうというものなのか、そのあたりについて確認をさせていただきたいと思います。

市長(酒井隆明君)
 今回の条例改正は、桑原地区において本年1月、氏名の公表をした事業者がありますが、氏名を公表しても何ら改善に取り組まれない。さらに実効性のある条例改正が必要であるということに加え、市全体に今後においても、生活環境を守るために必要な措置であると、このように考えています。

(引用終わり)

(参照条文)丹波篠山市環境保全条例
(改善命令等)
第33条 市長は、指定家畜飼養施設の設置者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該設置者に対し、必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
 (1) (略)
 (2) 第29条第2項の規定に違反して指定家畜飼養施設を設置し、又は設置しようとしているとき。
 (3)、(4) (略)
 (5) 前条の規定による指導又は勧告に従わないとき。
2 市長は、指定家畜飼養施設の設置者が前項各号のいずれかに該当する場合(同項第5号に該当する場合にあっては、前条の規定による指定家畜飼養施設が法令等で定める規制基準に適合していない場合に限る。)において、あらかじめ丹波篠山市環境審議会の意見を聴いた上で生活環境を著しく侵害しているものと認めるときは、その施設に係る公害を発生させる事業の停止又は施設の設置の中止若しくは施設の撤去を命ずることができる。

(代執行)
第33条の3 市長は、第33条の規定による命令を受けた指定家畜飼養施設の設置者等がその命令を履行しない場合において、他の手段によってその履行を確保することが困難であり、かつ、その不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、行政代執行法(昭和23年法律第43号)の定めるところにより代執行を行うことができる。

(丹波篠山市議会令和5年第124回水無月会議(5月30日)議事録より引用。太字強調は当サイトによる。)

市長(酒井隆明君)
 桑原地区の公害問題解決に向けて。養鶏業者は、鶏を移転させて悪臭などは解消されましたが、鶏舎の骨組みや盛土、基礎部分のコンクリートなどを残したままの状態です。市では原状回復がなされたとは考えておらず、丹波篠山市農業委員会からも骨組み、コンクリートなどの撤去、原状回復するように督促をされています。桑原地区の皆さんの快適な生活環境を確保するために抜本的な解決に向けて、引き続き取り組んでいきます。

(引用終わり)

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