1.今回は、司法試験第4問(予備試験刑法・刑訴法第7問)を取り上げます。
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(令和7年司法試験短答式試験刑法第4問(予備試験刑法・刑訴法第7問)より引用) 学生A及びBは、【会話】のとおり議論している。【会話】中の①から⑧までの( )内に【語句群】から適切なものを入れた場合、正しいものの組合せは1から5までのうちどれか。なお、①から⑧までの( )内には、それぞれ異なるものが入る。(解答欄は、[No.4]) 【会 話】 学生B.私は、判例と同様に、(①)といえ、(②)に当たるので、詐欺罪が成立すると考えます。 学生A.約款により暴力団関係者の施設利用を拒絶しているゴルフ場において、暴力団関係者がその旨を申告することなく施設利用をした場合はどう考えますか。 学生B.私は、判例と同様に、事案によっては詐欺罪が成立しない場合もあると考えます。詐欺罪が成立するとした判例では、(②)を認定できる事情がありました。一方、詐欺罪が成立しないとした判例では、ゴルフ場側が(③)するなどして、暴力団関係者による施設利用を(④)する意向を示していたものの、それ以上に(⑤)する措置は講じていなかったという事情がありました。また、(③)している周辺のゴルフ場において、暴力団関係者の施設利用を(⑥)する例が多数あったことなど、(②)を認定することが困難な事情がありました。そのため、暴力団関係者であることを申告せずに施設利用を申し込んだとしても、(⑦)ので、(⑧)としました。 【語句群】 1.①a ③e ⑤f ⑦i (引用終わり) |
以前の記事(「刑法穴埋めを最短でやっつける方法その1(令和7年司法試験短答刑法)」)で説明したとおり、まずは、何回も出てくるものを探しましょう。そうすると、②が3回登場していることが分かります。
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(令和7年司法試験短答式試験刑法第4問(予備試験刑法・刑訴法第7問)より引用) 【会 話】 学生B.私は、判例と同様に、(①)といえ、(②)に当たるので、詐欺罪が成立すると考えます。 学生A.約款により暴力団関係者の施設利用を拒絶しているゴルフ場において、暴力団関係者がその旨を申告することなく施設利用をした場合はどう考えますか。 学生B.私は、判例と同様に、事案によっては詐欺罪が成立しない場合もあると考えます。詐欺罪が成立するとした判例では、(②)を認定できる事情がありました。一方、詐欺罪が成立しないとした判例では、ゴルフ場側が(③)するなどして、暴力団関係者による施設利用を(④)する意向を示していたものの、それ以上に(⑤)する措置は講じていなかったという事情がありました。また、(③)している周辺のゴルフ場において、暴力団関係者の施設利用を(⑥)する例が多数あったことなど、(②)を認定することが困難な事情がありました。そのため、暴力団関係者であることを申告せずに施設利用を申し込んだとしても、(⑦)ので、(⑧)としました。 (引用終わり) |
ただ、ABの会話に視線を流した際に、特徴的なワードがあることに気付きたい。それは、②が2箇所存在するBの第2発言中にある「それ以上に」という部分です。
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(令和7年司法試験短答式試験刑法第4問(予備試験刑法・刑訴法第7問)より引用) 学生B.私は、判例と同様に、事案によっては詐欺罪が成立しない場合もあると考えます。詐欺罪が成立するとした判例では、(②)を認定できる事情がありました。一方、詐欺罪が成立しないとした判例では、ゴルフ場側が(③)するなどして、暴力団関係者による施設利用を(④)する意向を示していたものの、それ以上に(⑤)する措置は講じていなかったという事情がありました。また、(③)している周辺のゴルフ場において、暴力団関係者の施設利用を(⑥)する例が多数あったことなど、(②)を認定することが困難な事情がありました。そのため、暴力団関係者であることを申告せずに施設利用を申し込んだとしても、(⑦)ので、(⑧)としました。 (引用終わり) |
このワードを見て、「ん?」と反応したなら、前後を確認するべきです。
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(令和7年司法試験短答式試験刑法第4問(予備試験刑法・刑訴法第7問)より引用) 学生B.私は、判例と同様に、事案によっては詐欺罪が成立しない場合もあると考えます。詐欺罪が成立するとした判例では、(②)を認定できる事情がありました。一方、詐欺罪が成立しないとした判例では、ゴルフ場側が(③)するなどして、暴力団関係者による施設利用を(④)する意向を示していたものの、それ以上に(⑤)する措置は講じていなかったという事情がありました。また、(③)している周辺のゴルフ場において、暴力団関係者の施設利用を(⑥)する例が多数あったことなど、(②)を認定することが困難な事情がありました。そのため、暴力団関係者であることを申告せずに施設利用を申し込んだとしても、(⑦)ので、(⑧)としました。 (引用終わり) |
選択肢と語句群を見ると、③と⑤が「e.利用客に対して暴力団関係者でないことを確認」と「f.暴力団関係者の施設利用を拒絶する旨の立看板を設置」の2択、④は、「g.許可・黙認」と「h.拒絶」の2択と分かります。
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(令和7年司法試験短答式試験刑法第4問(予備試験刑法・刑訴法第7問)より引用) 【語句群】 1.①a ③e ⑤f ⑦i (引用終わり) |
ここで、「e.利用客に対して暴力団関係者でないことを確認」も「f.暴力団関係者の施設利用を拒絶する旨の立看板を設置」も、少なくとも、許可・黙認を意味するものでない、ということは、判断できるでしょう。そうすると、「(③)するなどして、暴力団関係者による施設利用を(④)する意向を示していた」という文章で、③にefのどちらが入るかにかかわらず、④は、「g.許可・黙認」ではなく、「h.拒絶」が入ると分かる。これで、④を「g.許可・黙認」とする2の選択肢が切れます。
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(令和7年司法試験短答式試験刑法第4問(予備試験刑法・刑訴法第7問)より引用) 1.①a ③e ⑤f ⑦i (引用終わり) |
それから、「(③)するなど……していたものの、それ以上に(⑤)する措置は講じていなかった」というのですから、③より⑤の方が確実な措置なのでしょう。その目で、「e.利用客に対して暴力団関係者でないことを確認」と「f.暴力団関係者の施設利用を拒絶する旨の立看板を設置」を比較する。そうすると、「単に立て看板を立てたとしても、無視して来店してきたときに利用客に個別に確認しなかったら無意味だもんね。だから、利用客に対して個別に暴力団関係者でないことを確認する方が確実な措置だよな。」と判断できるはず。こうして、③に「f.暴力団関係者の施設利用を拒絶する旨の立看板を設置」が、⑤に「e.利用客に対して暴力団関係者でないことを確認」が入ると分かるのでした。この時点で、③をeとする1と、⑤をfとする4の選択肢が消えます。
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(令和7年司法試験短答式試験刑法第4問(予備試験刑法・刑訴法第7問)より引用) 1.①a
③e
⑤f ⑦i (引用終わり) |
残るは、3と5の2択です。両者を見ると、⑧が食い違っている。そこで、⑧がある会話を見ます。
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(令和7年司法試験短答式試験刑法第4問(予備試験刑法・刑訴法第7問)より引用) 学生B.私は、判例と同様に、事案によっては詐欺罪が成立しない場合もあると考えます。詐欺罪が成立するとした判例では、(②)を認定できる事情がありました。一方、詐欺罪が成立しないとした判例では、ゴルフ場側が(③)するなどして、暴力団関係者による施設利用を(④)する意向を示していたものの、それ以上に(⑤)する措置は講じていなかったという事情がありました。また、(③)している周辺のゴルフ場において、暴力団関係者の施設利用を(⑥)する例が多数あったことなど、(②)を認定することが困難な事情がありました。そのため、暴力団関係者であることを申告せずに施設利用を申し込んだとしても、(⑦)ので、(⑧)としました。 (引用終わり) |
語句群と選択肢を見ると、「k.財産的損害が発生していない」と「l.欺罔行為に当たらない」の2択になっています。
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(令和7年司法試験短答式試験刑法第4問(予備試験刑法・刑訴法第7問)より引用) 【語句群】 1.①a ③e ⑤f ⑦i (引用終わり) |
まずは、直前の「暴力団関係者であることを申告せずに施設利用を申し込んだとしても、(⑦)ので」で、簡単に判断できないかな、という目で、語句群と選択肢を見ると、⑦は「i.利用客は正規の利用料金を支払っており、ゴルフ場に経済的な不利益はない」、「j.申込者が当然に暴力団関係者でないことまで表しているとは認められない」の2択になっている。
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(令和7年司法試験短答式試験刑法第4問(予備試験刑法・刑訴法第7問)より引用) 【語句群】 1.①a ③e ⑤f ⑦i (引用終わり) |
⑦が「i.利用客は正規の利用料金を支払っており、ゴルフ場に経済的な不利益はない」なら、⑧は「k.財産的損害が発生していない」で、⑦が「j.申込者が当然に暴力団関係者でないことまで表しているとは認められない」なら、⑧は「l.欺罔行為に当たらない」なんだろうな、ということは分かりますが、それだけではどちらなのか判別できません。
そこで、その前の「そのため」という接続詞に着目して、その前を見る。そうすると、「(②)を認定することが困難な事情がありました」とあることに気が付くでしょう。
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(令和7年司法試験短答式試験刑法第4問(予備試験刑法・刑訴法第7問)より引用) 学生B.私は、判例と同様に、事案によっては詐欺罪が成立しない場合もあると考えます。詐欺罪が成立するとした判例では、(②)を認定できる事情がありました。一方、詐欺罪が成立しないとした判例では、ゴルフ場側が(③)するなどして、暴力団関係者による施設利用を(④)する意向を示していたものの、それ以上に(⑤)する措置は講じていなかったという事情がありました。また、(③)している周辺のゴルフ場において、暴力団関係者の施設利用を(⑥)する例が多数あったことなど、(②)を認定することが困難な事情がありました。そのため、暴力団関係者であることを申告せずに施設利用を申し込んだとしても、(⑦)ので、(⑧)としました。 (引用終わり) |
選択肢と語句群を見ると、②は「c.挙動による欺罔行為」と「d.不作為による欺罔行為」の2択です。
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(令和7年司法試験短答式試験刑法第4問(予備試験刑法・刑訴法第7問)より引用) 【語句群】 1.①a ③e ⑤f ⑦i (引用終わり) |
どちらが入るにしても、欺罔行為であることには変わりがない。「(②)を認定することが困難な事情がありました。そのため、……(⑧)としました。」という文脈なのだから、⑧に「k.財産的損害が発生していない」と「l.欺罔行為に当たらない」のどっちが入るかと言われたら、「l.欺罔行為に当たらない」だろう、ということになる。こうして、⑧をkとする5の選択肢が消えて、3が正解と確定しました。
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(令和7年司法試験短答式試験刑法第4問(予備試験刑法・刑訴法第7問)より引用) 1.①a ③e ⑤f ⑦i (引用終わり) |
2.前回取り上げた司法試験第3問(予備試験刑法・刑訴法第3問)では、語句群に見ただけで分かりやすいヒントがありました(「刑法穴埋めを最短でやっつける方法その2(令和7年司法試験・予備試験短答刑法)」)。本問は、慣れていないとちょっと気付きにくいものの、慣れていれば目が止まる表現が会話中にあるので、そこから切り込んでいくと早く解ける問題です。「そんなの結果論でしょ。」と思うかも知れませんが、現場で気付いてサクサク解いてしまう人は実際にいます。すべての問題を最短で解けるようにはなかなかならないかもしれませんが、このような着眼点で解いていけるのだ、ということを知っておくと、同様の出題がされたときに対応しやすいでしょう。