刑法穴埋めを最短でやっつける方法その2
(令和7年司法試験・予備試験短答刑法)

1.今回は、司法試験第3問(予備試験刑法・刑訴法第3問)を見てみましょう。

(令和7年司法試験短答式試験刑法第3問(予備試験刑法・刑訴法第3問)より引用)

 学生A、B及びCは、【事例】について、【会話】のとおり議論している。【会話】中の①から⑪までの( )内に【語句群】から適切なものを入れた場合、正しいものの組合せは1から5までのうちどれか。なお、①から⑪までの( )内には、それぞれ異なるものが入る。(解答欄は、[No.3])

【事 例】
 甲は、威力を用いて県議会委員会の条例案採決の事務を妨害した。

【会 話】
学生A.甲に(①)が成立するかについては、(②)が(①)の客体である(③)に含まれるかが問題となりますね。

学生B.私は、(③)に(④)との立場から、甲に(①)が(⑤)と考えます。

学生C.(⑥)についてまで(①)の保護対象に含める必要はあるのですか。

学生A.私は、(③)に(⑦)との立場から、甲に(①)が(⑧)と考えます。

学生C.Aさんの立場では、威力を用いて私立高校の入学試験を妨害した場合には(①)が(⑤)のに、公立高校で同じことをしても(①)も(⑨)も(⑧)ことになりかねず、不均衡ではありませんか。私は、(⑥)は(③)に含まれず、それ以外の(②)は(③)に含まれると考えます。【事例】における事務は、(⑥)に当たらず、(③)に含まれるので、甲に(①)が(⑤)と考えます。

学生B.Cさんの立場では、(⑩)場合、どのように考えるのですか。

学生C.その行為さえなければ遂行されたはずの本来の警察官の(②)が妨害された場合、その妨害された(②)の中に(⑥)が含まれていたとしても、強制力を行使し得る段階に(⑪)ので、その全体について(①)が成立すると考えます。

【語句群】
a.業務妨害罪 b.公務執行妨害罪 c.業務 d.公務
e.全ての公務が含まれる f.全ての公務が含まれない
g.成立する h.成立しない
i.強制力を行使する権力的公務 j.非権力的公務
k.職務質問中の警察官に対して威力を用いて抵抗した
l.警察官に対して犯罪予告の虚偽通報がなされた m.ある n.ない

1.①a ③c ⑥i ⑧h ⑩l
2.①b ④e ⑥j ⑨a ⑩k
3.②c ④f ⑦e ⑨a ⑪m
4.②d ⑤g ⑦f ⑨b ⑪m
5.③d ⑤h ⑧g ⑩k ⑪n

(引用終わり)

 前回の記事(「刑法穴埋めを最短でやっつける方法その1(令和7年司法試験短答刑法)」)で説明したとおり、まずは、①から⑪までのうち、2回以上出てくるものを探すのがセオリーです。ただ、ここは語句群をチラ見しただけで、ヒントがあると気付きたい。

(令和7年司法試験短答式試験刑法第3問(予備試験刑法・刑訴法第3問)より引用)

【語句群】
a.業務妨害罪 b.公務執行妨害罪 c.業務 d.公務
e.全ての公務が含まれる f.全ての公務が含まれない
g.成立する h.成立しない
i.強制力を行使する権力的公務 j.非権力的公務
k.職務質問中の警察官に対して威力を用いて抵抗した
l.警察官に対して犯罪予告の虚偽通報がなされた m.ある n.ない

(引用終わり)

 語句群を見ただけで、公務と業務の論点の話だよね、と分かるでしょう。そこさえ分かっていれば、「公務が含まれる」、「公務が含まれない」は、文脈上、「業務には」という流れしかあり得ない。これを手掛かりにすることができそうだ。そこで、e、fが候補になっている穴を確認します。そうすると、④と⑦であることが分かる。

(令和7年司法試験短答式試験刑法第3問(予備試験刑法・刑訴法第3問)より引用)

【語句群】
a.業務妨害罪 b.公務執行妨害罪 c.業務 d.公務
e.全ての公務が含まれる f.全ての公務が含まれない
g.成立する h.成立しない
i.強制力を行使する権力的公務 j.非権力的公務
k.職務質問中の警察官に対して威力を用いて抵抗した
l.警察官に対して犯罪予告の虚偽通報がなされた m.ある n.ない

1.①a ③c ⑥i ⑧h ⑩l
2.①b ④e ⑥j ⑨a ⑩k
3.②c ④f ⑦e ⑨a ⑪m
4.②d ⑤g ⑦f ⑨b ⑪m
5.③d ⑤h ⑧g ⑩k ⑪n

(引用終わり)

 そこで、④と⑦が出てくる文章を見てみましょう。すると、Bの第1発言とAの第2発言だと分かる。それぞれの発言中には、①③④⑤⑦⑧の穴があります。

(令和7年司法試験短答式試験刑法第3問(予備試験刑法・刑訴法第3問)より引用)

【会 話】
学生A.甲に(①)が成立するかについては、(②)が(①)の客体である(③)に含まれるかが問題となりますね。

学生B.私は、(③)に(④)との立場から、甲に(①)が(⑤)と考えます。

学生C.(⑥)についてまで(①)の保護対象に含める必要はあるのですか。

学生A.私は、(③)に(⑦)との立場から、甲に(①)が(⑧)と考えます。

学生C.Aさんの立場では、威力を用いて私立高校の入学試験を妨害した場合には(①)が(⑤)のに、公立高校で同じことをしても(①)も(⑨)も(⑧)ことになりかねず、不均衡ではありませんか。私は、(⑥)は(③)に含まれず、それ以外の(②)は(③)に含まれると考えます。【事例】における事務は、(⑥)に当たらず、(③)に含まれるので、甲に(①)が(⑤)と考えます。

学生B.Cさんの立場では、(⑩)場合、どのように考えるのですか。

学生C.その行為さえなければ遂行されたはずの本来の警察官の(②)が妨害された場合、その妨害された(②)の中に(⑥)が含まれていたとしても、強制力を行使し得る段階に(⑪)ので、その全体について(①)が成立すると考えます。

(引用終わり)

 そこで、語句群と選択肢を見ると、①は「a.業務妨害罪」と「b.公務執行妨害罪」の2択、③は「c.業務」、「d.公務」の2択、④と⑦は「e.全ての公務が含まれる」、「f.全ての公務が含まれない」の2択、⑤と⑧は「g.成立する」、「h.成立しない」の2択であると分かります。

(令和7年司法試験短答式試験刑法第3問(予備試験刑法・刑訴法第3問)より引用)

【語句群】
a.業務妨害罪 b.公務執行妨害罪 c.業務 d.公務
e.全ての公務が含まれる f.全ての公務が含まれない
g.成立する h.成立しない
i.強制力を行使する権力的公務 j.非権力的公務
k.職務質問中の警察官に対して威力を用いて抵抗した
l.警察官に対して犯罪予告の虚偽通報がなされた m.ある n.ない

1.①a ③c ⑥i ⑧h ⑩l
2.①b ④e ⑥j ⑨a ⑩k
3.②c ④f ⑦e ⑨a ⑪m
4.②d ⑤g ⑦f ⑨b ⑪m
5.③d ⑤h ⑧g ⑩k ⑪n

(引用終わり)

 瞬時に確定できるのは、③が「c.業務」だ、ということですね。「d.公務」を入れると、「公務に公務が含まれる。」、「公務に公務が含まれない。」という意味不明の文章になるからです。この時点で、③がdとなっている5の肢を切れます。

(令和7年司法試験短答式試験刑法第3問(予備試験刑法・刑訴法第3問)より引用)

1.①a ③c ⑥i ⑧h ⑩l
2.①b ④e ⑥j ⑨a ⑩k
3.②c ④f ⑦e ⑨a ⑪m
4.②d ⑤g ⑦f ⑨b ⑪m
5.③d ⑤h ⑧g ⑩k ⑪n

(引用終わり)

 次に、Cの第1発言から、Bの第1発言の穴を確定できそうだ、と気付きたい。

(令和7年司法試験短答式試験刑法第3問(予備試験刑法・刑訴法第3問)より引用)

【会 話】
学生A.甲に(①)が成立するかについては、(②)が(①)の客体である(③)に含まれるかが問題となりますね。

学生B.私は、(③)に(④)との立場から、甲に(①)が(⑤)と考えます。

学生C.(⑥)についてまで(①)の保護対象に含める必要はあるのですか。

(引用終わり)

 業務に公務が含まれるか、含まれないか、の話をしていて、「保護対象に含める必要はあるのですか。」と言われているのだから、Bの第1発言は、公務に含まれる、という話をしているのだろう。そう考えると、④は「f.全ての公務が含まれない」ではなく、「e.全ての公務が含まれる」が入ると分かる。業務に公務が含まれる、という話だから、業務妨害罪が成立するよ、と言っているのだろう。それで、「業務妨害罪の保護対象に含める必要はあるのですか。」とCに言われているのだろう。このことから、①は「a.業務妨害罪」、⑤は「g.成立する」が入ると分かる。この時点で、①がbであるとする2と、④がfであるとする3の選択肢が消去できます。後は、1と4の2択ですね。

(令和7年司法試験短答式試験刑法第3問(予備試験刑法・刑訴法第3問)より引用)

1.①a ③c ⑥i ⑧h ⑩l
2.①b ④e ⑥j ⑨a ⑩k
3.②c ④f ⑦e ⑨a ⑪m
4.②d ⑤g ⑦f ⑨b ⑪m
5.③d ⑤h ⑧g ⑩k ⑪n

(引用終わり)

 1と4で、直接食い違っている穴はありません。もっとも、さっき見たCの第1発言中に⑥の穴があり、1の選択肢には、「⑥i」があるので、そこで切れないか、見てみましょう。

(令和7年司法試験短答式試験刑法第3問(予備試験刑法・刑訴法第3問)より引用)

学生C.(⑥)についてまで(①)の保護対象に含める必要はあるのですか。

 (中略)

【語句群】
a.業務妨害罪 b.公務執行妨害罪 c.業務 d.公務
e.全ての公務が含まれる f.全ての公務が含まれない
g.成立する h.成立しない
i.強制力を行使する権力的公務 j.非権力的公務
k.職務質問中の警察官に対して威力を用いて抵抗した
l.警察官に対して犯罪予告の虚偽通報がなされた m.ある n.ない

1.①a ③c ⑥i ⑧h ⑩l
2.①b ④e ⑥j ⑨a ⑩k
3.②c ④f ⑦e ⑨a ⑪m
4.②d ⑤g ⑦f ⑨b ⑪m
5.③d ⑤h ⑧g ⑩k ⑪n

(引用終わり)

 ⑥に関しては、「i.強制力を行使する権力的公務」と「j.非権力的公務」(選択肢2参照)の2択になっています。権力的公務と非権力的公務の区別というのは、「非権力的公務は業務妨害罪で保護されるとしても、権力的公務は妨害を実力で排除できるから保護の必要がない。」という文脈で出てくるよね。これは、さすがに知っていて当然の知識でしょう。そうすると、「(⑥)についてまで(①)の保護対象に含める必要はあるのですか。」の⑥に入るのは、「i.強制力を行使する権力的公務」だと分かる。そうすると、後は、1の選択肢の「⑩l」が正しいかどうか、そこさえ確定すれば、正解が出ます。すなわち、「⑩l」が正しければ、1の選択肢の穴はすべて正しいので1が正解となるし、「⑩l」が正しくなければ、1の選択肢が切れるので、残る4が正解になるというわけです。

(令和7年司法試験短答式試験刑法第3問(予備試験刑法・刑訴法第3問)より引用)

1.①a ③c ⑥i ⑧h ⑩l
2.①b ④e ⑥j ⑨a ⑩k
3.②c ④f ⑦e ⑨a ⑪m
4.②d ⑤g ⑦f ⑨b ⑪m
5.③d ⑤h ⑧g ⑩k ⑪n

(引用終わり)

 そこで、⑩の入っている文章を見ます。

(令和7年司法試験短答式試験刑法第3問(予備試験刑法・刑訴法第3問)より引用)

学生C.(⑥)についてまで(①)の保護対象に含める必要はあるのですか。

 (中略)

学生B.Cさんの立場では、(⑩)場合、どのように考えるのですか。

学生C.その行為さえなければ遂行されたはずの本来の警察官の(②)が妨害された場合、その妨害された(②)の中に(⑥)が含まれていたとしても、強制力を行使し得る段階に(⑪)ので、その全体について(①)が成立すると考えます。

【語句群】
a.業務妨害罪 b.公務執行妨害罪 c.業務 d.公務
e.全ての公務が含まれる f.全ての公務が含まれない
g.成立する h.成立しない
i.強制力を行使する権力的公務 j.非権力的公務
k.職務質問中の警察官に対して威力を用いて抵抗した
l.警察官に対して犯罪予告の虚偽通報がなされた m.ある n.ない

1.①a ③c ⑥i ⑧h ⑩l
2.①b ④e ⑥j ⑨a ⑩k
3.②c ④f ⑦e ⑨a ⑪m
4.②d ⑤g ⑦f ⑨b ⑪m
5.③d ⑤h ⑧g ⑩k ⑪n

(引用終わり)

 ⑩は、「k.職務質問中の警察官に対して威力を用いて抵抗した」(選択肢2、5参照)、「l.警察官に対して犯罪予告の虚偽通報がなされた」の2択です。そして、Cは、第1発言で、「i.強制力を行使する権力的公務」まで保護する必要はないんじゃないの?と言っている。そうすると、「k.職務質問中の警察官に対して威力を用いて抵抗した」が入る場合には業務妨害罪は不成立の立場になるはずでしょう。しかし、Cは、最後の発言で、「全体について(①)が成立すると考えます。」と言っている。ならば、権力的公務を原則除外する立場からも業務妨害罪を認める余地のある場合、すなわち、「l.警察官に対して犯罪予告の虚偽通報がなされた」しか入らない。こうして、1が正解になると確定できました。

(令和7年司法試験短答式試験刑法第3問(予備試験刑法・刑訴法第3問)より引用)

1.①a ③c ⑥i ⑧h ⑩l
2.①b ④e ⑥j ⑨a ⑩k
3.②c ④f ⑦e ⑨a ⑪m
4.②d ⑤g ⑦f ⑨b ⑪m
5.③d ⑤h ⑧g ⑩k ⑪n

(引用終わり)

2.このような解き方には、「本当にこれで大丈夫?」、「なんだか不安」という感覚が常につきまといます。しかし、だからといって、1つ1つ確認していては、全体の時間が足りなくなる。対処法は簡単で、まず、上記のような最短のやり方で、全問解くのです。その際に、不安で再確認したいポイントには、「☆」などの印を付けておく。それで、全問解いて時間が余ったら、「☆」マークの付いている問題を優先して、改めて選択肢の語句がきちんと入るのか等を確認します。そこで、「おかしい」と感じたなら、「☆」マークの部分を別の解釈で考えた場合にどうなるかを確認したり、別のアプローチで再度解いてみたりすればよい。一番よくないのは、不安だからと特定の1問に時間を掛け過ぎて、他の問題が時間切れで解けなくなることです。まず最短の解法で全部解いて、不安なものから確かめていく。そうすることで、時間配分のミスを防ぐことができるのです。

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