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(令和6年予備試験民事実務基礎)

1.令和6年予備試験民事実務基礎設問2(1)(ⅰ)。転借権の発生を認めた上で、賃料不払解除をするわけだから、普通に「原告所有・被告占有の請求原因→占有権原の抗弁→解除による消滅の再抗弁」という構造になっている。だから、①は再抗弁として主張すべきだということでよい。これは、それなりに要件事実を勉強していれば、判断できたことでしょう。

(問題文より引用。太字強調は筆者。)

〔設問2〕

 第1回口頭弁論期日において、本件訴状及び本件答弁書が陳述され、弁護士P及び弁護士Qは、それぞれ、次回期日である第1回弁論準備手続期日までに準備書面を作成することとなった。

(1) 弁護士Pは、別紙1【Xの相談内容】の下線部の(ⅰ)及び(ⅱ)の各言い分について、再抗弁として主張すべきか否かを検討している。弁護士Pが、上記(ⅰ)及び(ⅱ)の各言い分について、それぞれ、①再抗弁として主張すべきか否かの結論を記載するとともに、②(a)再抗弁として主張すべき場合には、再抗弁を構成する具体的事実を記載し、(b)再抗弁として主張しない場合には、その理由を説明しなさい。

(別紙1)
【Xの相談内容】
 「……(略)……。
 私は、本件延滞賃料に関するAとの話合いは諦め、Aに対し、令和6年3月31日到達の内容証明郵便をもって、(ⅰ)賃料不払を理由として本件賃貸借契約を解除するとともに、(ⅱ)本件土地の無断転貸を理由として本件賃貸借契約を解除しました。Yは、何ら正当な権原がなく本件建物を所有して本件土地を占有していますので、Yに対し、本件建物の収去及び本件土地の明渡しを求めたいと思います。 」

(引用終わり)

 仮に、判断に迷ったなら、その後の設問を見るべきです。

(問題文より引用。太字強調は筆者。)

〔設問2〕

 第1回口頭弁論期日において、本件訴状及び本件答弁書が陳述され、弁護士P及び弁護士Qは、それぞれ、次回期日である第1回弁論準備手続期日までに準備書面を作成することとなった。

 (中略)

(2) 弁護士Qは、弁護士Pから再抗弁を記載した準備書面(以下「原告準備書面」という。)が提出されたことを受けて、別紙1【Y(代表取締役A)の相談内容】(b)を前提に、以下のような再々抗弁を記載した準備書面(以下「被告準備書面」という。)を作成した。

 (ア) Aは、Xに対し、令和4年11月9日、アンティーク腕時計(本件商品)を代金200万円で売った。
 (イ) 〔      〕
 (ウ) Aは、Xに対し、令和6年3月20日、(ア)の代金債権をもって、本件延滞賃料と対当額で相殺する旨の意思表示をした。

 ①上記〔   〕に入る具体的事実を記載するとともに、②その事実を主張した理由を簡潔に説明しなさい。

〔設問3〕

 第1回弁論準備手続期日において、原告準備書面及び被告準備書面が陳述され、弁護士Pは、次回期日である第2回弁論準備手続期日までに準備書面を作成することとなった。
 その後、弁護士Pは、Xから更に別紙1【Xからの聴取内容】のとおりの事情を聴取した。
 これを前提に、以下の各問いに答えなさい。

(1) 弁護士Pは、別紙1【Xからの聴取内容】を前提に、被告準備書面の再々抗弁に対し、再々々抗弁として、以下の各事実を主張することにした。

 (あ) Xが、Aに対し、令和5年3月23日、代金200万円とした本件商品の代金額につき、50万円とするよう申し入れ、XとAとの間で上記代金額につき争いがあった。
 (い) XとAは、上記(あ)につき互いに譲歩し、令和5年4月10日、本件商品の売買代金債権総額を100万円に減額する旨の和解をした。
 (う) 〔      〕

  ①上記〔   〕に入る具体的事実を記載するとともに、②上記(あ)及び(い)の事実に加えて、上記(う)の事実を主張すべきと考えた理由につき、和解契約の法律効果について触れた上で、簡潔に説明しなさい。

(引用終わり)

 どうみても、賃料不払解除の再抗弁に対する再々抗弁、再々々抗弁が展開されている。ならば、これは再抗弁として主張すべきなんだろう。そう判断できる。これは、過去問を解いていれば体得できる方法論です。この点を確認することなく、安易に主張しないと解答した人は、猛省すべきでしょう。

2.②については、基本的には前払特約がある場合の賃料不払解除の要件事実を解答すればよいわけですが、親亀である原賃貸借を解除して子亀の転借権を消滅させるという構造になっているところに、ちょっとしたヒネりがある。このことに気が付かないまま、解除の意思表示の相手方を「Y」としてしまった人が結構いたようです。しかし、本件賃貸借契約を解除するのですから、転借人Yではなく、賃借人Aを相手方としなければならない。これは、問題文をちょっと確認しただけでも、すぐ気付くことのできることでした。

(問題文より引用。太字強調は筆者。)

(別紙1)
【Xの相談内容】
 「……(略)……。
 私は、本件延滞賃料に関するAとの話合いは諦め、Aに対し、令和6年3月31日到達の内容証明郵便をもって、(ⅰ)賃料不払を理由として本件賃貸借契約を解除するとともに、(ⅱ)本件土地の無断転貸を理由として本件賃貸借契約を解除しました。Yは、何ら正当な権原がなく本件建物を所有して本件土地を占有していますので、Yに対し、本件建物の収去及び本件土地の明渡しを求めたいと思います。 」

(引用終わり)

3.概説書等では、賃料不払解除の要件事実として、典型的なケース、すなわち、賃借人を被告として明渡しを求める事例を想定した記載例が掲載されていることでしょう。そこに記載されている要件事実は基本事項であって、覚えておいた方がよい。ただ、実際に問題を解く際には、覚えたものをそのまま吐き出してよいか、ということを考えなければなりません。とりわけ、本問は転貸借という、いつもと違うケースが問われたわけですから、「いつものやつそのままでいいの?」ということについて、慎重に考えるべきでした。慎重に考える、ということの意味としては、「改めて問題文をチェックしてみる。」ということが含まれます。そうすれば、「あーそっか。Yは転借人だから、解除の相手方じゃないじゃん。ってか、Xもそう言ってんじゃん。」と気が付いたはず。普段の演習を通じて、こうしたチェックをごく自然にできるようになっておくべきです。「いや、そんなのたまたまウッカリしただけだし。次はちゃんと気付くから問題ないよ。」といって改善策を考えない人は、次の年もまた、同じようなミスを繰り返すことになります。

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