本件自転車の占有
(令和6年予備試験刑法)

1.令和6年予備試験刑法。前回の記事(「本件ケースの占有(令和6年予備試験刑法)」)では、本件ケースの占有を考えました。今回は、Bの本件自転車について考えてみましょう。

問題文より引用。太字強調は筆者。)

3 甲は、上記居酒屋に徒歩で向かったところ、X駅まで道のり約500メートルのコンビニエンスストア(以下「本件店舗」という。)前の歩道(以下「第2現場」という。)において、ガードレールに沿って駐輪された3台の自転車のうちの1台(以下「本件自転車」という。)が新品に近い状態である上に無施錠であることに気付いた。
 本件店舗には専用の自転車置場がなかったが、第2現場は、自転車が駐輪できる相当程度のスペースがあり、事実上、本件店舗を含む付近店舗利用客の自転車置場として使用されていた
 本件自転車の所有者B(25歳、男性)は、本件店舗を利用してからX駅構内にある書店に立ち寄って参考書を購入したいと考えていたものの、X駅付近にある有料自転車置場の料金を支払うことが惜しくなった
 そのため、Bは、第2現場に本件自転車を駐輪したまま徒歩で上記書店に行き、同日午後8時頃には本件自転車を取りに戻ろうと考え、同日午後6時15分頃、本件自転車を第2現場に駐輪した。その際、Bは、本件自転車の施錠を失念した。Bは、本件店舗に立ち寄った後、同日午後6時20分頃、第2現場に本件自転車を駐輪したまま上記書店に向かった。
 甲は、本件自転車が本件店舗を含む付近店舗の利用客が駐輪したものであると考えたが、上記居酒屋まで歩くことが面倒になり、本件自転車を足代わりにして乗り捨てようと考え、同日午後6時50分頃、本件自転車を持ち去った。
 Bは、甲が本件自転車を持ち去った時点で上記書店におり、同日午後8時頃、第2現場に戻ったが、本件自転車が見当たらなかったため、本件自転車が盗まれたと考え、その旨を警察官に届け出た。

(引用終わり)

 下位規範を準備していなくて、「占有の意思と占有の事実」という程度の規範に当てはめようとすると、事実の羅列になってしまうというだけでなく、どの事実を拾い、どの方向に評価してよいのか、皆目見当がつかない感じだっただろうと思います(※1)。考慮要素を用意していた人も、「なにこれ、普段準備している考慮要素にうまくフィットしてくれないんだけど。」と思ったことでしょう。多くの予備校等で論証化されている考慮要素は、ほとんどが公園ポシェット事件のような事案を想定しているため、本件自転車のような事案にはうまくフィットしないのです(※2)。下位規範ではなく考慮要素にとどめるという方法論は、下位規範の硬直性を緩和して、どんな事案でも使える汎用性にメリットがある(※3)のですが、占有離脱の判断の場合には、類型ごとの目の付け所が結構違うので、ある類型を想定した考慮要素だけを覚えても、それほど汎用性がない。当サイトが、占有離脱の場面において類型ごとの下位規範を論証化する方法論を採用したのも、そのためでした。
 ※1 採点実感で「事実をただ羅列した答案」のように評されているものは、明示の評価文言がない、という意味ではなく、規範の明示がない答案を指していると読むと、再現答案の成績と整合的に理解できます。規範も示さず事実を書き写しても、ほとんどの場合、ただの羅列のようにしかみえないので、採点実感ではそのような表現になっているのでしょう。
 ※2 考慮要素に「置き忘れた物が」とか、「落とした場所・時間」のように、公園ポシェット事件のような事案でないと当てはまらない文言が含まれてしまっていることも少なくありません。本件自転車は置き忘れた物でもなければ、落とした物でもないので、フィットしないのですね。また、場所的時間的近接性は、公園ポシェット事件のように支配可能性が占有の肯否を分ける類型では非常に重要な考慮要素となりますが、支配可能領域を逸脱した類型では、さほど重要性を持ちません。このことは、アメリカに3年間留学する者が、留学中、日本にある自宅(他に家人はいない。)の駐車場に自動車を駐車していた、という場合を想起すれば、アメリカでなく韓国なら占有が肯定されやすくなるとか、3年ではなく2年なら占有が肯定されやすくなるというような問題ではないことが理解できるでしょう。一方で、意図的に存置させたことを推認させる外形的状況は極めて重要な考慮要素になりますが、これは公園ポシェット事件のような事例では問題になりにくい要素なので、予備校論証の考慮要素には入っていないのが通常です。
 ※3 不真正不作為犯における総合説や、因果関係における実行行為の危険性、介在事情の異常性、介在事情の寄与度の3要素で処理する説は、そのような汎用性が相応に認められる例といえます。

 類型ごとの下位規範を準備していれば、それぞれの類型に当たることを基礎付ける事実が、いわば問題提起のような位置付けで答案に書き写すべき要素となることが分かります。本件自転車についていえば、「X駅まで道のり約500メートル」、「Bは、甲が本件自転車を持ち去った時点で上記書店におり」の事実が、支配可能な場所的範囲を離れたことを基礎付ける。そこで、当該各事実と、対応する規範を答案に書き写せばよいわけです。

参考答案(その1)より引用)

 Bは、甲がX駅まで約500mの第2現場で本件自転車を持ち去った時点でX駅構内にある書店にいたから、支配可能な場所的範囲を離れていたといえる。
 物が被害者の支配可能な場所的範囲を離れた場合であっても、被害者の意思でその場所に存置されたもので、被害者がその物の存在を認識し、放棄する意思でなく、そのような被害者の意思を推認させる外形的状況があるときは、当該物の占有はいまだ被害者にある(大震災搬出物事件判例参照)。

(引用終わり)

 「X駅まで道のり約500メートル」に関しては、安易に、「わずか約500mであり、場所的近接性が認められる。」などと書いてしまいがちです。「占有の意思と占有の事実」という規範だけで考えるとしても、これは占有の事実を否定する方向の要素として摘示すべきです。安易に肯定方向の事実として摘示すれば、評価を落とすでしょう。そもそも公園ポシェット事件のように支配可能性が問題になる類型ではない、という理解がないと、この判断は難しかったかもしれません。
 事実の評価と規範の理由付けを付するなら、参考答案(その2)のようになりますが、文字数当たりの得点を考慮すると、やり過ぎの感は否めません。

参考答案(その2)より引用。太字強調は筆者。)

 Bは、甲がX駅まで約500mの第2現場で本件自転車を持ち去った時点でX駅構内にある書店にいた。ごく短時間で握持・監視を回復できる範囲になく、支配可能な場所的範囲を離れていたといえる。
 物が被害者の支配可能な場所的範囲を離れた場合であっても、被害者の意思でその場所に存置されたもので、被害者がその物の存在を認識し、放棄する意思でなく、そのような被害者の意思を推認させる外形的状況があるときは、当該物の占有はいまだ被害者にある(大震災搬出物事件判例参照)。上記外形的状況によって占有の意思が明確に表現され、同状況にある物は何者かの管理の下にあるという社会通念を介した占有の事実を認め得るからである。

(引用終わり)

2.規範を示したら、あとは当てはまる事実を探して書き写す。まずは、「被害者の意思でその場所に存置されたもので、被害者がその物の存在を認識し、放棄する意思でなく」の部分です。改めて問題文を見てみましょう。

問題文より引用。太字強調は筆者。)

3 甲は、上記居酒屋に徒歩で向かったところ、X駅まで道のり約500メートルのコンビニエンスストア(以下「本件店舗」という。)前の歩道(以下「第2現場」という。)において、ガードレールに沿って駐輪された3台の自転車のうちの1台(以下「本件自転車」という。)が新品に近い状態である上に無施錠であることに気付いた。
 本件店舗には専用の自転車置場がなかったが、第2現場は、自転車が駐輪できる相当程度のスペースがあり、事実上、本件店舗を含む付近店舗利用客の自転車置場として使用されていた。
 本件自転車の所有者B(25歳、男性)は、本件店舗を利用してからX駅構内にある書店に立ち寄って参考書を購入したいと考えていたものの、X駅付近にある有料自転車置場の料金を支払うことが惜しくなった
 そのため、Bは、第2現場に本件自転車を駐輪したまま徒歩で上記書店に行き、同日午後8時頃には本件自転車を取りに戻ろうと考え、同日午後6時15分頃、本件自転車を第2現場に駐輪した。その際、Bは、本件自転車の施錠を失念した。Bは、本件店舗に立ち寄った後、同日午後6時20分頃、第2現場に本件自転車を駐輪したまま上記書店に向かった。

(引用終わり)

 Bの意思に関する事実を探すと、「X駅付近にある有料自転車置場の料金を支払うことが惜しくなった」、「午後8時頃には本件自転車を取りに戻ろうと考え」の部分がこれに当たることが、容易に判断できるでしょう。これらの事実から、Bの意思で第2現場に存置されたもので、Bは本件自転車の存在を認識し、放棄する意思でなかったことが明らかです。ならば、これを書き写す。

参考答案(その1)より引用)

 物が被害者の支配可能な場所的範囲を離れた場合であっても、被害者の意思でその場所に存置されたもので、被害者がその物の存在を認識し、放棄する意思でなく、そのような被害者の意思を推認させる外形的状況があるときは、当該物の占有はいまだ被害者にある(大震災搬出物事件判例参照)。
 Bは、X駅付近にある有料自転車置場の料金を支払うことが惜しくなったため、午後8時頃には本件自転車を取りに戻ろうと考え、第2現場に駐輪した。Bの意思で第2現場に存置されたもので、Bは本件自転車の存在を認識し、放棄する意思でなかったといえる。

(引用終わり)

 なにかしら評価の文言を付すとすれば、参考答案(その2)のような感じでしょう。この程度は、現場ですぐ思い付くし、それほど文字数も掛からないので、筆力に自信があれば書いてもよいでしょう。

参考答案(その2)より引用。太字強調は筆者。)

 物が被害者の支配可能な場所的範囲を離れた場合であっても、被害者の意思でその場所に存置されたもので、被害者がその物の存在を認識し、放棄する意思でなく、そのような被害者の意思を推認させる外形的状況があるときは、当該物の占有はいまだ被害者にある(大震災搬出物事件判例参照)。上記外形的状況によって占有の意思が明確に表現され、同状況にある物は何者かの管理の下にあるという社会通念を介した占有の事実を認め得るからである。
 Bは、X駅付近にある有料自転車置場の料金を支払うことが惜しくなったという動機に基づいて自己の意思で第2現場に本件自転車を駐輪した。Bは、徒歩で上記書店に行き、午後8時頃という概ね確定した時間に本件自転車を取りに戻ろうと考えていた。本件自転車の存在を認識し、放棄する意思でなかったといえる。

(引用終わり)

3.もう1つの規範、「そのような被害者の意思を推認させる外形的状況があるとき」という点については、どうか。改めて問題文を見てみます。

問題文より引用。太字強調は筆者。)

3 甲は、上記居酒屋に徒歩で向かったところ、X駅まで道のり約500メートルのコンビニエンスストア(以下「本件店舗」という。)前の歩道(以下「第2現場」という。)において、ガードレールに沿って駐輪された3台の自転車のうちの1台(以下「本件自転車」という。)が新品に近い状態である上に無施錠であることに気付いた。
 本件店舗には専用の自転車置場がなかったが、第2現場は、自転車が駐輪できる相当程度のスペースがあり、事実上、本件店舗を含む付近店舗利用客の自転車置場として使用されていた
 本件自転車の所有者B(25歳、男性)は、本件店舗を利用してからX駅構内にある書店に立ち寄って参考書を購入したいと考えていたものの、X駅付近にある有料自転車置場の料金を支払うことが惜しくなった。
 そのため、Bは、第2現場に本件自転車を駐輪したまま徒歩で上記書店に行き、同日午後8時頃には本件自転車を取りに戻ろうと考え、同日午後6時15分頃、本件自転車を第2現場に駐輪した。その際、Bは、本件自転車の施錠を失念した。Bは、本件店舗に立ち寄った後、同日午後6時20分頃、第2現場に本件自転車を駐輪したまま上記書店に向かった。
 甲は、本件自転車が本件店舗を含む付近店舗の利用客が駐輪したものであると考えたが、上記居酒屋まで歩くことが面倒になり、本件自転車を足代わりにして乗り捨てようと考え、同日午後6時50分頃、本件自転車を持ち去った。

(引用終わり)

 ここでは、反対の事情もあるので、「確かに」、「しかし」の形で両方を摘示することを考えなければなりません。「自分の採る結論を基礎付ける事実だけ摘示すればよくね?」というのは、受かりにくい人の典型的な発想です。
 まず、誰もが気付くのが、「無施錠」という点。「意識して駐輪しているなら、盗られないように施錠するのが常識だよね。」ということで、占有否定の方向です。これは多くの人が指摘するでしょうから、落とすと差が付きやすいでしょう。次は、「歩道」という点。これは、ちょっと気付きにくいかもしれませんが、何もない歩道に自転車が置いてあったら、普通は「放置されてる。」って思うよね、という意味で、占有否定の方向になるでしょう。
 他方、占有肯定方向の要素として落としてはいけないのが、「事実上、本件店舗を含む付近店舗利用客の自転車置場として使用されていた」という点です。これは、とても目立つ特殊性なので、多くの人が摘示できるでしょう。落とせば、大きな差になりやすい。同じ意味で、「本件店舗前」という点も、地味だけど拾っておきたい。「店舗前なら、歩道であってもそこに停めて買い物したりするよね。」という意味で、占有肯定方向になります。それから、気付きにくいけれど、重要なのは、「ガードレールに沿って駐輪された3台の自転車のうちの1台」という点と、「新品に近い状態」という点です。1台なら、乗り捨てられたものかもね、という感じですが、3台も停められている。それも、ガードレールに沿って整然と3台並んでいるとなれば、これは不用品として投棄されたとは考えにくい外観といえるでしょう。ボロッボロでいかにも廃棄されてそうな状態でなく、ピッカピカの新品というなら、なおさらです。類似の事案に関する福岡高判昭58・2・28でも、これらの点は占有肯定方向の要素として摘示されています。

(福岡高判昭58・2・28より引用。太字強調は筆者。)

3.前記旦過市場には自転車等でくる客も多いのであるが、同市場のできたのが古いこともあつて同市場専用の自転車置場がなく、従つて、同市場の周囲の歩道あるいは前記「てんじんじまばし」は相当以前から同市場へ出入する客の自転車置場ともなつており、閉店時ころまでには大体持ち帰るものの、終夜同橋上に自転車を置いたままにしていることも度々見受けられ、現に被告人が本件自転車を持ち去つたとき、同所には右自転車のほかに1台の自転車が置いてあつたこと、

 (中略)

5.本件自転車は昭和56年春ころXにおいて新車を購入したもので、まだ新しく、その後輪泥よけ(ステンレス)の中央に青色ペンキで「X」と記入されていたものであるが、Vは、右酒店で飲酒しているうち酔が廻り、同日午後2時ころ、右酒店から帰る際、本件自転車に乗つて帰るのは危ないと考えたため、右自転車が前記「てんじんじまばし」上にあるのを確かめた後、後から取りにくるつもりで同所にそのまま置いて約600メートル位離れた自宅へ帰つたが、当時右自転車の前輪上に取付けてある白色かごの中に茶色折りたたみ式傘1本、白色タオルを入れたままにし、無施錠のままであつたこと、

 (中略)

 右事実を認めることができる。

 原判決は、刑法235条の「窃取」の概念に含まれる「占有」とは人が物を現実に所持又は監視している場合だけでなく、占有者が支配していると社会通念上認められる場合も含むとしながらも、本件においては、前記「てんじんじまばし」の人道専用橋という特性にかんがみ、Vが本件自転車を無施錠のまま夜半まで同橋上に放置したという事実を考慮すると、もはやVに右自転車につき同法条の保護に値する「占有」を認めることはできないとして、被告人の右自転車を持ち去つた時点におけるVの本件自転車に対する占有を否定しているのであるが、前記認定のとおり、「てんじんじまばし」は人道専用橋であるものの、事実上旦過市場にくる客の自転車置場ともなつており、終夜自転車を置いたままにしておくことも度々見受けられ、現に被告人が本件自転車を持ち去つたとき、同所には右自転車のほか1台の自転車が置かれており、しかも、本件自転車は購入後いまだ1年くらいしか経ていない新しい品物で、後輪泥よけ部分には青色のペンキで「X」と鮮明に記入されており、その前輪上のかごのなかには折りたたみ傘一本とタオルが入れられて、通行の邪魔にならないように同橋の東端近く欄干寄りに欄干に沿つて置かれていたのであり、Vは、同橋上がそのような場所であることを認識し、後で取りにくる積りで本件自転車をそのまま同所に置いて一旦帰宅したものであるから、かかる事実関係の下では、右自転車が以後約14時間を経過して夜半を過ぎて午前3時半ころに及び、しかも無施錠でそのまま置かれていたこと等を考慮しても、社会通念上、被告人が本件自転車を持ち去つた時点においても、本件自転車はVの占有下にあつたものと認定するのが相当である。

(引用終わり)

 これらの事実を抽出するには、「どうしてわざわざこの事情が書いてあるんだろう?」ということを考えてみる。受かりにくい人は、「なんか知らんけど事案をリアルにするために書いてるんでしょ。」という軽い気持ちで無視しがちです。1つ1つの事実に敏感になることが必要で、先天的にできる人もいますが、そうでない人は、事例問題に多く触れることで、体得していくしかありません。当サイトが演習の必要性を強調する所以です。復習の際には、関連判例の事案、事実摘示・評価も参考にするとよいでしょう。演習をすることなく、単に判例を読み込もうとしても、頭に入ってこないはずです。演習をして、自分が拾えなかった、あるいは、意味付けを理解できなかった部分に着目することで、初めて意識が集中し、頭に入ってくるようになるのです。
 さて、これらの事実を抽出できたなら、最低限、書き写しておけばよい。

参考答案(その1)より引用)

 確かに、第2現場は歩道で、本件自転車は無施錠であった。しかし、第2現場は本件店舗前で、事実上、本件店舗を含む付近店舗利用客の自転車置場として使用されていた。本件自転車はガードレールに沿って駐輪された3台の自転車のうちの1台で、新品に近い状態であった。上記Bの意思を推認させる外形的状況があったといえる。
 以上から、甲が本件自転車を持ち去った時にも、本件自転車の占有はBにあった。

(引用終わり)

 書き写すだけでも、最後に、「Bの意思を推認させる外形的状況があった」と規範に当てはまる旨を示すことで、意味付けの理解が伝わります。これが、適切な下位規範を明示した効果ですね。上記の要素をすべて抽出できる人は上位陣でもあまりいないでしょうから、これだけで優に合格レベルを超えるでしょう。
 これに飽き足らず、明示に評価ないし意味付けを付そうとすれば、参考答案(その2)のような感じでしょう。

参考答案(その2)より引用。太字強調は筆者。)

 確かに、第2現場は歩道で、本件自転車は無施錠であった。一般に、歩道は自転車を保管する場所でなく、歩道に無施錠で放置された自転車は、放棄された外形を有するとの評価が可能である。しかし、第2現場は本件店舗前で、事実上、本件店舗を含む付近店舗利用客の自転車置場として使用されていた。このことは、そこにある自転車は放棄されたものでなく、自己の意思で駐輪された外形を生じさせる。しかも、第2現場には、本件自転車の他に2台の自転車がガードレールに沿って駐輪されていた。3台もの自転車が整然と並べられた状態で放棄されることは異例であり、上記自己の意思で駐輪されたとの外形が補強される。さらに、本件自転車は新品に近い状態で、通常は新品をすぐ放棄することは考え難いことから、上記自己の意思で駐輪されたとの外形が補強される。以上から、上記Bの意思を推認させる強い外形的状況があったといえる。
 以上から、甲が本件自転車を持ち去った時にも、本件自転車の占有はBにあった。

(引用終わり)

 もっとも、本問は書くべき事柄が多いので、ここまで書くのは現実的ではありません。参考答案(その2)は、全体で10頁強の文字数になっているので、物理的にも書くことは不可能です。論文で理想を追い求めることは、ときに破滅に繋がる。このことは、肝に銘じておくべきでしょう。

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